第34章 彼からのお土産
「あの…、鏡柱様に
ご相談を一切なさっておられる
ご様子がございませんが……。
その辺りのお話を
お二人でお付けになられた方が
ひとりでなさる事でもございませんし。
お相手のご意向があっての事かと…」
そう杏寿郎に対して
工藤が進言すると
「理由が…知りたいか?工藤。
どうして俺が、あげはに相談らしい
相談もなしに、勝手な真似とも
取れる様な事ばかりしているのか。
お前も気になるのだろう?」
あげはが部屋に戻って
部屋の襖を閉めると
ふぅっとため息を漏らした
さっきの杏寿郎
苛立ってる感じだった
今から 悲鳴嶼さんの所に
彼についての 透真さんについての
話を聞きに行くのだから
苛立つのも…
当然なのかも知れないけど
「でも…、なんかまた勝手に話を
私の知らない所で
付けられている気がする…」
杏寿郎は 私の知らない間に
私の為に動いてくれている時が
多々あって
屋敷の一室を家具に合わせて
板の間に張り替える件にしても
そもそも 結婚式の場所にしても
ドレスや白無垢の事だって
もうちょっと
こっちに意志の確認だとか
相談らしい相談があっても
いい様な気がする……し
2人で決めたと言うよりは
杏寿郎がお膳立てしてくれた中から
私がこれを……って
選んだってだけなのかも…なぁ
あの時の杏寿郎の口ぶりだと
もう ドレスと白無垢がしたて上がれば
すぐにでも 式を挙げると言う様な
そんな事を言われた様な気がする
でも 結婚の準備なんて
正直 随分と
気が早すぎる気がするし?
ドレスとかの採寸だって
全てに片がついてからで……も
いいんじゃないかって
だってそんな事して……も って
そんな事を考えてちゃ
ダメなのだろうけども……
式場を押さえたり
引き出物の手配もしてるくらいだ
けど 引っかかる事があった
「順番的には、婚約の後は
結納の方が……先よね?」
本来ならば 先にあるべきはずの
結納を……済ませて居ないのだから
「結納…ねぇ、結納」