第33章 たった一つの揺らぐ事のない
あからさまに 夕方からこっち
あげはの俺に対する態度がおかしい
「俺に触れられるのは、
嫌なのか?あげは」
「ふっ、触れるっ?
そっ、……それは……、
いや、ダメです。
ダメ…今そうされたら……ッ」
「別に俺は、
抱かせろとは言っていないが?
今は君は月の物だし、
それに竈門少年達も居るだろう?」
彼女のその態度の異変の原因が
俺自身なのであるのならば
俺は己惚れてしまいそうな物だが……
俺の事でどうしようもなくなっている
あげはをもっと堪能したいと言う
気持ちもなくは…ないが
「あの…、杏寿郎…。
あの時……言ってた事、を
…その、して……いや、あの、
忘れて下さい。何でもありません」
何かを言いかけて
それを思い切り 否定されてしまって
あげはは一体 俺に何をされたかったのか
「とりあえず、あげは。
部屋に入ったらどうだ?
君がこっちに来てくれないと
襖を閉める事も出来ないのだが?」
「そうですね、すいません。
ぼんやりしておりまして…」
そう言って部屋に入って来て
あげはがスッと襖を閉めた
までは いいのだが
随分と 離れた場所に
と言うよりは部屋の隅の方に
あげはが
キチンと正座をして座っていて
こちらへ来る様子もない
「君はどうして、
そんな隅の方に座ってるんだ?
君の布団はここだろう?」
そう言って杏寿郎が
自分の布団の隣に敷いてある
あげはの布団を
ぽんぽんと手で叩いた
そんな 端に居ないで
ここに来なさいとそう促されて
おずおずと 申し訳なさそうにして
あげはが自分の布団の上に
キチンと正座をして座る
数日この部屋で寝起きしているのに
まるで初めて部屋に入ったかの様で
緊張してる…のは分かるが
問い詰めていいものか否かと
杏寿郎がそう悩んでいた時に
「…あの、杏寿郎……」
キュっとあげはが俺の
寝巻の膝の辺りを握って来る