第33章 たった一つの揺らぐ事のない
「愛してるで
足りない時はどうする?あげは。
愛しているだけでは、俺の気持ちは
到底、言い表せそうにないが…?
今の感情を
言葉で伝える事の出来る言葉を
俺は…知り得ないのだが……?」
そう 言葉では足りないと
言われてしまって
すぐ前に彼の顔があって
目を伏せられてしまえば
彼の望んでいる事は分かる…
「あげは…。口付けても…?」
「熱く…なり過ぎて
しまわない程度…にッ」
「はははは、それは難しいな。
あげはが立って居られない様に
またしてしまいそうだ…が?
それでも、
構わないだろうか……?あげは」
「それに…、聞かずとも…
私の答えなんて…、
ご存じでしょう?杏寿郎…」
愛してるじゃ収まらないと
言う彼の言葉通りに
「…んっ、ふぅ、
はぁ、……んん゛っ」
その熱に溶かされてしまいそうな
濃厚な口付けをされてしまって
その場に崩れそうになるのを支えらえて
強く抱きしめられつつも
一度解放された唇を再び塞がれてしまう
「ふぅ、…んんっ、
はぁ、杏寿郎……ッ」
「あげは…、口付けだけでは到底
足りそうにないのだが……?」
そう熱を帯びた瞳で見つめられながら
熱を帯びた声で救いを求めるようにして
言われてしまっては…
彼の手が私の手を探り当てて
そのまま指を絡めてギュッと繋がれると
「あげは……、
こうして指を絡めたままで
君に…、口付けても?」
「はぁ、んっ、ダメですッ…それ……、
はっ、ご容赦を…ぁあんっ。
そんな事したらぁ…、んっ。それにっ……
杏寿郎、当たってッ、当たってますからっ」
「それは…仕方あるまいッ…?
それを理由に…拒ませたくないと…。
言いたくなってしまいそうだからな。
名残惜しいが…、
これ位にしておこう。
あまり遅くなると、
夕食に間に合わんしな。その内春日が
呼びに来るかも知れんからな。
ん?どうした?あげは」