第33章 たった一つの揺らぐ事のない
彼女の心を占めるのが
例え俺では…なかったとしても…
俺が彼女を あげはを愛している…
その事実が変わることはない
たったひとつの
俺の 答えであり
俺の… 真実なのだから
確かめたい気持ちがないと言えば嘘になる
それが君にとって俺なのかと……
その口から その言葉を
聞き出したいと…願わなくもない
だが…それは 俺がすべき事ではない
全てが……彼が居なければ
成り立たないからだ…
今 俺の目の前に彼女が居る事が
その何よりの証拠……
今もなお 彼が 三上透真が
彼女を… あげはを
想い続けていると言う… 証拠なのだから
「杏寿郎…?」
「君の中の答えがどうであれ……、
君はそれを口にしてくれるな…。
……いいな?」
杏寿郎の言葉に
あげはが言葉を発する事無く
頷く
これ以上は何も言うなと
そう彼に言われて
それ以上は何も言えなくなってしまう
それを受け入れる事は
杏寿郎にとって きっと……
……きっと 辛い事のはずなのに
他の誰でもない…
杏寿郎自身が…
私に彼を…否定するなと言ったのだから
私の答えは
私の中に在ればいいと…
彼がそう言うのなら……
だったら……
「杏寿郎…、でしたら…
答え……と言うのについて聞いても?」
彼の言う…
私の存在が 全ての証拠であり
答え……になると言うのは?
確認せずとも…
あの言葉が出て来た時点で…
分かり切っている……事でもあるけど
「君がここに居ると言う事…、それが
三上透真がもう一人の彼に…、
自我を奪われていない何よりの証拠……。
鬼殺隊が柱を退いた、君を
除名せずに特例の扱いをして、
隊の中に留まらせたのも、
君自身の意向もある程度はあるだろうが…
恐らくは、それを把握する為…だと
考える方が妥当かも知れん」