第33章 たった一つの揺らぐ事のない
あっという間に
3人が離れに戻って行って
中庭に2人だけになる
宇髄が言っていたあげはの呼吸の
危険性の件についてもだが
俺にはあげはに もうひとつ
確認して置きたい事があった
それは あげはがどの程度の深さで
真相を知っていて
把握してるのかと言う事…についてだ
「あげは…、君は…彼を1分でも早く
救いたい…のではないか?」
彼を 負の呪縛から救って欲しい
お館様はあげはにそう仰しゃっておられた
終わる事のない その呪縛から
彼を……救って欲しいと
あげはは……気付いているのか?
あげはが俺のこの質問に対して
どのような返答を返して来るのか…
その答えを聞けば…おのずと解る…はずだ
俺が彼について
導き出した答えと
彼女が彼について
導き出した答え……について
彼女の言葉を待つ
あげはからの
即答での返答はなかった
むしろ目の前の彼女は俺に対して
随分と言葉を選んでいる様にも見える
この…間こそが
この時点である程度は知っている
確たる証拠…でもあるにはあるが…
「私ひとりでは…、叶いませんので」
あげはがそう 静かに答えた
彼女は彼を救いたいと言った
そうか 彼女は
彼の 今を 現状を知っている……
だから あの時
炎屋敷に来たあの日に…
俺に手伝って欲しいと
言ったのだな 彼を救いたいから……と
あの時の真摯な様子も
それを知っていたのなら頷ける
そうか やはり あげはは……
知っていたのだな 俺よりも先に…
知っていて…… それを受け入れて
その上に… 進もうとしてる…
あげはには 驚かされる事ばかり……だな
些か ひとりで
先々し過ぎてしまいがち…
では あるが……な
彼女の為に 俺が
出来る事……があるのならば
それは… 恐らく