第32章 深まる謎と謎
伊之助は口こそ悪いけど
優しい子なんだなぁと
しんみりとしながら
炭治郎君の気遣いが心に染みて来る
「ええっ、そんな事
……ないと思う…んだけど?
褒められ…るだなんて」
面と向かって堂々と
私の事を全面的に褒めちぎるのなんて
それこそ
杏寿郎…
ぐらいな物だけども…
一体誰に
何を褒められているのだろうか
と その噂を知りたくもなってしまうが
「そもそもの話なんだけどもね…、
くしゃみっていうのは、二通りの…」
くしゃみのメカニズムについて
あげはが3人に説明をしようと
話を始めようとして……
昨日の杏寿郎の様子を思い出して
その続きを言うのを踏みとどまる
「いや……、
いいの。この話は忘れて?」
あげはの話が始まると
一瞬身構えていた3人も
あげはが話すのを止めたので
ホッと胸を撫でおろしていた
「あ、でもいい噂なのは、
本当なんじゃない?あげはさんは
美人だし、スタイルもいいし、
足だって長いし、
それにホラ、胸も大きいし。
剣の腕だって、強いし。
それに、優しいもん。
それは誰が
褒めてたっておかしくないって事!」
そこまで善逸がベラベラと喋った所で
炭治郎と伊之助が善逸に冷ややかな
視線を向けていて
マズイと善逸も感じたのか
「あ、でもホラ。アレじゃないの?
煉獄さんもあげはさんも、
美男美女だしさ?
ふたりお似合いじゃないってそんな
噂だったりとか、…ね?
するんじゃないかなぁ~って」
「紋逸お前…、
やっぱり気持ち悪い奴だな」
「善逸、言い訳は見苦しいぞ?
まぁでも、
善逸の言う意味も分かるけど…な」
「炭治郎~。
お前だってそう思うよな?な?」
「確かに!
俺も、我妻少年の言う事が
正しいと思うぞ?」
そう善逸の後ろにいつの間にか
杏寿郎の姿があって
「煉獄さん?
もうお戻りになられたのですね?」
予定よりも早かった
杏寿郎の帰宅に炭治郎の顔が
ぱぁっと明るくなる