第32章 深まる謎と謎
「ああ。そうだろうな!
宇髄が言うんだ。
間違いないだろうな!
俺もそう思うぞ?いい奴で……、
いい男だったんだろう?三上透真は」
「…煉獄……お前ッ」
面食らった顔をして
宇髄が杏寿郎の顔を見ると
杏寿郎がニコッと
満面の笑みを浮かべて
「違うか?宇髄……。俺は
そう思ったんだが、どうだろうか?」
「ああ、お前の……言う通りだよ。
煉獄、アイツはいい奴だったし、
それに、いい男だった。違わね。
けど…、煉獄」
「どうした?宇髄、まだ何かあるのか?」
「お前も、アイツに負けねぇ位
いい奴で、いい男だわ……って
思ってた所。んじゃ。俺戻るわ……」
そういつもの調子で言って
杏寿郎にヒラヒラと手を振ると
ストンと屋根から飛び降りて
通りのまばらな
人の流れに溶け込んで行く
そのまま しばらく通りを歩いて
さっきまで杏寿郎と話をしていた
建物の屋根を宇髄が一瞥すると
すでに杏寿郎の姿はなくなっていて
宇髄はさっきまで
杏寿郎の居た場所を見ながら
「サンキューな。煉獄」
そう自分だけにしか
聞こえないような小さな声で言った
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宇髄と別れて 吉原を後にする
残りは…不死川の所…か
そう考えていると
不死川の所へ手紙を託していた
鎹鴉の要が手紙を持って
戻ってきた
「カァー、風柱ァ、任務ゥ~、カァー」
「そうか!不死川は留守だったんだな。
すまなかった、要。世話になったな。
なら、今日の所は屋敷に戻るとしよう」
不死川からの手紙は
風屋敷の使用人が
代筆をした物で内容を改めると
不死川は急な任務で数日屋敷を
空けると言う物だった
なら 今日の所は
帰るより他になさそうだし
不死川が任務から戻れば
俺からの要件を伝えて置くとあったので
待つより他になさそうだ
そう言えば…
あげはは昨日出掛けた時に
箱寿司を土産に
買って帰って来ていたな…