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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第32章 深まる謎と謎


ふぅっと
杏寿郎が小さく息を漏らすと

その息を漏らしたのと同じくして


「俺も…、彼と
話をして…みたかったものだ……」


と漏らした


そう言うと 目を細め
遠くに視線を移しながら

ここではないどこかを
眺めている様だった


宇髄は……杏寿郎の
その言葉に驚いた

らしからぬ と感じたからだ

煉獄の奴…こんな感じだったか?


前までは勢いでなんでもかんでも
解決するし

白と黒しかねぇような
そんな奴……だと思っていたが……


前の以前の煉獄なら
もう鬼なった奴となんか

話したいとは言わない……そんな奴だ


そんな奴……だったんだ


それに声…
あの大声みたいな声じゃねぇ声

出せるんだな コイツ……


少し……見ねぇ内に随分
男……上げすぎじゃね?コイツ


それもこれも アレか

あげはと懇ろになったから…なのか?


ぼんやりとそんな事を考えながら
宇髄は杏寿郎の横顔を眺めていた


「ん?俺の顔に…何かついてるか?宇髄」

「あ、……ああ。
いや、付いてねぇけど。
あー、アイツと?話?
気、合いそうだわな、お前等。」

「何だ、宇髄。バカにしないのか?」

もう それは叶わないのだからと
いつもの軽口で流されるかと思ったが


「……いい奴……、だった」


そう噛みしめる様にして
宇髄が絞り出す様に言った


だったと言う過去を表す

その言い回し……


そうか 宇髄も……

彼の事を
必死に乗り越えようとしてるんだな


宇髄にとって

唯一無二の親友だった

彼の事を…



「……いい奴だったんだ、アイツは……ッ」



いつもポーカーフェイスの宇髄の

堪え切れない感情が

その声に僅かに震えとして表れていて

宇髄はそれほどまでに
彼を 三上透真を信頼していたのだと


俺にもわかる…


宇髄の葛藤が… その言葉から
俺にも伝わる程に

宇髄にとっても彼は

それほどまでに… 
重要な存在であったと…


知るに足りた


三上… 透真…


彼はいつも…人の心の
深い所に 居るのだな… 今も…



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