第32章 深まる謎と謎
宇髄の目がいつもと違う
その目が真剣そのものだったので
事の重要さを杏寿郎は感じ取って
「知ってる……とは?」
と宇髄の言葉に問い返した
「これの、危険性について
あげはは、…お前に説明したのか?」
宇髄は…あげはの呼吸が
特殊だと言う事を知っていた
でも その呼吸が
強力であると知りながら
宇髄はそれを
自分で使おうとしなかった
その理由…は…
危険性…?
あげはは常中の先…とは言っていたが
この呼吸は何かしらの弊害を
巻き起こす…物なの…か?
「だったら、聞き方変えるわ。煉獄。
お前は。これを使ってる時の、
アイツの、あげはの様子が
変だって…感じた事はねぇのか?」
呼吸を使っている時の
あげはの様子……と言われて
宇髄の言葉にあげはの最近の
修行の時の姿を思い返してみる
「ある。常中……が乱れる程に
呼吸を乱す姿を…、
何度か見た事があるな」
おかしいと……感じてはいた
あの呼吸が 異常なまでに
彼女の身体に
負担を掛けているのではないかと
そう感じる事が しばしばあった
だが 単純に俺は
彼女の使う 鏡の呼吸
その物が……
他の呼吸にない
特殊な特性を持っているが故に
異常に身体に負担を掛けるのかと
思っていたが……
そうではないと言う事か
「俺が……、あげはを、
アイツの事を4番目の妻にしようと
してた本当の理由が
それ…だったりとかすんだわ。
煉獄…。悪い事は言わねぇ。
この戦いが終わったら……、
アイツを鬼殺隊から抜けさせろ。
ここまで言えば…、察しのいい
お前だったらわかるだろう?」
確かに強力な呼吸であるのは確か……だ
二段呼吸にしても
複合呼吸にしても
強力であるが故に
身体への負担も 当然
大きくなる……と
宇髄が……あげはを
自分の妻に迎えるつもりだった
真の理由が これだった…と言う訳か