第32章 深まる謎と謎
宇髄は…
あげはとは
昔からの顔見知りの様だし
あげはの性分についても
かなり…理解があると
感じさせられて……しまう……な
いつも元気な杏寿郎が
珍しくしゅんとした様子で
心なしか眉尻が下がっている様に見えて
その顔を見て察するに
宇髄は彼等のそっちの事情は
何となくには察したのだが
「あー。あれか?……その様子だと。
も、怒られた後…ね。遅かった感じ?」
「……不甲斐ない話ではあるが
宇髄、君の……指摘の通りだ。
俺が聞きたいのは、
その抑え方の方なんだが?」
「抜けばいいじゃん?簡単、違った?」
屋根の上にしゃがみ込んだままで
頬杖をついて
自分の頬に手を当てながら
さも当然と言いたげに
宇髄がそう返して来て
「いや、そうしろとは言われたから
そうしようとしたんだが……」
誰に言われたんだよ誰に
とは怖いからつっ込まないぞ 俺は
隠し事しないし 出来ねぇ性分の男だが
そっちの方向もフルオープンだな コイツ
こんな時間から猥談かよ
まぁ この剣術バカみたいな男から
猥談を持ちかけられる日が来るとは
俺も思っちゃいなかった…けど
全然知らない女ならまだしも
こっちは相手の女の事も
それなりに知ってるつーの
まぁ 興味あるちゃあ
興味…あっから 聞かねぇ事もねぇけど?
「したけど、どうって?」
「そうしたらしたで、
手伝うとあげはに……
言われて…しまって、だな」
じゃあ アレだ 煉獄に抜けって
言ったのはあげはじゃねぇって事ね
ますます 誰に言われたんだよって
つっ込まないって つっ込ま……ない
つっ込まない……からな? 俺は
「煉獄さ、お前。あんまりベラベラ俺に、
話しちまって、後で怒られても知んねぇぞ?
俺から言わせたんじゃねぇし
お前、ちょっと、…喋りすぎ…な。
まぁ、それは役得だったんじゃねぇの?
良かったんだろ…?良かったって、
お前の顔に書いてあるしな。」
「……なっ!やっ…それは…その」