第32章 深まる謎と謎
地面に綺麗に二層になった砂利を
あげはが二つの色が混ざるようにして
ぐちゃぐちゃにしてしまう
「こうするように
出来るようになるのが…、最終形態」
「流石っ、あげはさんっですね!
指導上手すぎじゃない?上手すぎでしょ?
俺なんか、見てるだけで複合呼吸
できたみたいな気分になっちゃったもん」
「こら、善逸。
気になるだけじゃダメだろう?
ちゃんと、善逸も
二段呼吸を習得するんだ」
「ここまで説明したら、後は……
君達に頑張ってもらうとして。
私は、このバラバラにした庭の玉石を
元通りに戻して来るから」
そう言って
地面に並べた黒い玉石を取り払って
元の場所へ戻しく行くと
地面の肺の絵を消して
その跡に白い玉石を
戻して被せて行くと
絵を描く前の元の状態に戻った
「オイ。あげる。上に石、
積むんだったら下の絵、わざわざ
消さなくて良かったんじゃねぇのかよ?」
「ああ。確かにそうかも……
何も考えないでそうしちゃったけど…」
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甘露寺の屋敷を後にした杏寿郎は
宇髄の居るであろう吉原へと向かった
宇髄は吉原を
長年に渡って根城にしている
上弦の鬼の調査を
数か月に渡り…行っていた
かく言う俺も
その調査と言う名目の元に
吉原への同行を
宇髄から何度か求められたのは事実だ
午前中の時間の吉原は閑散としている
それも当然だ 昼間の営業時間である
昼見世すら正午からなのだから
言わば今は 営業時間外なのだ…
閑散としているのは当たり前なのだが
このぐらいの時間なら
まだ遊女達とて遅めの朝食や
入浴や馴染みの客に手紙を書いている頃だ
とある見世の屋根の上に
探していたお目当ての
宇髄の姿があった
この時間から……ここに居るか
正直 わからなかったが
ここに来て 正解だったようだ
杏寿郎の気配に
宇髄がこちらに向き直ると
こちらに向かって手を挙げた