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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第5章 無限列車にて 前編


ーと…言う事は 
今あげはが着ている隊服は
元々は甘露寺用にあつらえたもの
という事になる
しかし 胸元の辺りが
そんなに余っている様にも見えないが…

「それが、甘露寺の物…なのなら…」
ハッと 炭治郎が匂いで何かを悟って
杏寿郎の口を塞いだ
「いけませんっ、煉獄さん!それは、
女性に言っては、失礼になりますから!
真実だとしても…ダメです」

「そうだな!いつ鬼が出るやも知れんし、
気を引き締めるとしよう!」
鬼が出ると言う言葉に
善逸の顔から血の気が引いて行く
「嘘でしょ?鬼出るんですか?この汽車」
「出る!」
善逸の淡い期待を
ハッキリと否定されてしまう

「出んのかいっ!イヤァーーーッ!!
鬼の所へ移動してるんじゃなく
ここに出んのかいっ!イヤァアーー!
俺、降りるぅ〜」

相変わらず善逸はやかましいなぁーと
大きな声で泣き叫ぶ善逸を
あげはは眺めていた

ガラッ 後方の客車の戸が静かに開いて
車掌と思しき男がゆらりゆらりと
俯き加減で歩いてくる
『切符…、…拝見…、致します…』
何だか 死んだ人のような 
覇気のない目をしている

周りの乗客も東京からの客であろうのに
そちらへは目も暮れずに 真っ直ぐに
こちらを目指して 車掌が歩み寄ってくる

汽車に乗るのは初めての炭治郎が
隣にいた杏寿郎に何をするのかと尋ねて来て
切符に鋏を入れて貰って
乗車確認をするのだと説明した
見本を見せるように 杏寿郎が車掌に
自分の胸にしまっていた切符を差し出すと
炭治郎と伊之助もそれに続いた
床の上に這いつくばって項垂れている善逸も
切符を差し出した

「切符…、拝見…」と車掌に促されて
あげはも自身の切符を車掌に手渡した
パチンと 鋏で切り込みを入れると
手元に戻される

あれ?何?… 何か 
変な感じがする 気のせいかな?
「あ、どうも…、ありがとうございます」
切符を受けとりながら あげはが言った

ジ…ジジィ…ジィ… と
羽音のような音を立てて
天井の灯りが点いたり消えたりを
繰り返し点滅する

「拝見…しました……」

車掌が生気のない声で ボソッと言った

ジ…ジジ…ッ ジィ…
点いたり消えたりを繰り返して
点滅をしていた灯りが
ブツンッーと消えた 真っ暗になり
何も見えなくなった

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