第31章 その名を継ぎし者
「俺は……、
あげはからこれを預かった」
「それは俺が元々、鉄友殿に頼んで
預かって来た物だ。
彼の職人として刀鍛冶としての
未来が、その刀には掛かっている。
彼は……、あれ以来……、
刀を打っていないそうだ。
それだけの、
……大業物を……打っておきながら…だ」
そう…だったのか
煉獄が これを
鉄友さんから……預かって来たのか
「俺が、お前こそこれを振るうに相応しいと。
そう頼んだんだが?冨岡、君はこれで
彼を…、三上透真を討て。君の為にも、
彼の為にも、そして…鉄友殿の為にも。
冨岡……必要なら、そうするが?どうだ?」
そう杏寿郎が義勇に尋ねて来て
この場合の必要なのかは
一喝なのか 叱咤激励なのか
それとも…
「まだ、俺は…話していないが?」
「ああ。そうだったな。
して…、冨岡、君からの話は……?」
「俺は、この戦いが終わったら。
鉄友さんに了承を得るつもりでいる」
「了承?……何の了承だ……」
「この透真さんの日輪刀を…、俺は
あげはに持って居て貰いたい…、
そう考えている。別にお前と、
あげはの仲を疎んでいる訳ではない…。
俺はお前とあげはが、
そうなれればいいと思っている。
だが……、それと同時に……」
「冨岡……、君は優しいのだな。
俺の気持ちを汲んでくれて、
その上で、三上透真の気持ちも、
あげはの気持ちも
汲んでくれようとしているのだからな!
ならば。君のその気持ちを…、
俺も汲まねばなるまい。その話承知した」
「煉獄…、いいのか?
お前からすれば気持ちのいい話
ではないのではないのか?」
そう先ほどまでの強い口調ではなく
今度は申し訳なさそうにして
義勇が杏寿郎に言って来ると
「それについては俺がとやかく
言う事でもあるまい。あげはが決めれば
良い事だと俺は判断するが?後…
それから、言い忘れる所だったが。もうひとつ。
君が、彼を討ったら…、鉄友殿は
冨岡、お前に刀を打ちたいと
……そう言っていたぞ?」