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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第31章 その名を継ぎし者


「ふっ、……はぁ、……やっ。
杏寿郎っ、
ダメ…って言ってるの…にっ」

「口付ける事以上の事はしていないが?」

それは分かっている

胸を揉まれた訳でも

まして…

下に触られた訳でもないのに

彼の熱のこもった
口付けだけで 

自分がこうなってしまっていて

「でも、……今、これ以上したらっ…
ここから、動けなく、……なっちゃう…」

「なら、しばらく……ここでゆっくり
しているといい。悪いが俺は…、
どうしようもなく、あげは。
君にそうしたいと……思ってるからな」

そう言ってニッコリと
彼が微笑んで来て

そして 
また熱い口付けをされてしまって

更に しばらく動けそうに
なくなってしまって

涙目になりながらも
彼を睨みつつ

「……ぅ、杏寿郎の……、
鬼…ぃ。信じられないっ…し」

そう悔み事を漏らすと

よしよしと頭を撫でられてしまって

「すまない。あげは。その……、
自分を律する訓練が俺には
必要な様だ。君を可愛がりたいと言う
自分の感情を、
どうにも制御出来ないからな。
それに、元を正せば君が悪いんだ。
あまりにもいじらしくて、
可愛らしい事を言うのが悪い。
むしろ君には…、
俺がここで踏みとどまった事を
褒めてもらいたい気分だが?」

「もうっ!またそんな
調子のいい事ばっかり言って、
約束してるんだったら、
さっさと行って来て下さいっ、
…その、杏寿郎が悪いんですよ?
こうなってしまってるのは、私の所為じゃ…、
ありませんから…っ、んぐっ」

言葉の続きを言おうとした口を
杏寿郎に手で押さえられてしまった

「あげは。無自覚だとは言え
……これ以上はダメだ。
俺も堪えられる自信がないからな……」

と訳の分からない事を
杏寿郎は言い残して

「他にも、2、3、ついでの用事も
済ませてくるつもりだ。行ってくる」

私からの返答も待たずに
そのまま 屋敷を出て行ってしまった


私は その場から動けそうになくて
壁に身体を預けたままで

さっき言われた言葉の
意味を反芻してはみたが



「それって……、
私が…、悪いって事?」



杏寿郎が あんな口吸いをしたから
こうなっちゃってるのに?

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