第31章 その名を継ぎし者
呼吸が終わる前に
肺の容量の空いた所で
次の呼吸を開始する……
これを使えば……
あげはがしていた
不知火 双の回転を追加する
不知火の連撃ではなくて
呼吸を連続する方法での
不知火の連撃も可能かも知れない……
同じ型を繰り返す方が
要領は得やすいだろうし……
この呼吸を極めれば
別の型との組み合わせも可能だろうしな
少年達の機転の良さ……
驚かされるばかりだ
俺は… 呼吸を極めたつもりでいたが
まだまだ だったと言う事か…
全く 柱として不甲斐ないな……
ふぅっと小さく
杏寿郎がため息をついたのを
あげはには気付かれていた様で
「杏寿郎?」
「ああ、あげはか、どうかしたか?」
不思議そうな表情をしながら
自分の顔を覗き込む
あげはと視線がぶつかって
「その、用事が、
あるとお伺いしておりましたが。
まだ、…出なくて良かったですか?」
「あ、ああ。そうだったな!
忘れる所だった。では、俺は
行ってくる。後はあげはに稽古を
してもらうといい。頼んだぞ?」
「はい、確かに頼まれました。
行ってらっしゃい。杏寿郎」
「あげは……、俺は着替えてから
出るつもりでいるが、その……」
「あげはさん。
俺達は、地稽古をしてますので。
俺達の事はお気になさらずに、
煉獄さんのお見送りして来て下さい」
杏寿郎の考えを炭治郎が察して
あげはにそう声をかけて来た
「そうそう。煉獄さん、見送って
もらいたそうだし?
あげはさんは行って来てよ。
俺達の稽古は、
その後からでもいいでしょ?」
「あん?見送りでもなんでも
行ってくればいいだろうがよ?
それ済んだら、稽古すんだろ?」
あくまでも伊之助はいつも
マイペースだ
まぁ その辺りが伊之助らしいんだけど
「じゃあ、着替えが済んだ頃に
追いかけますので。先に行って頂いても?」
「ああ、分かった」
杏寿郎の姿が見えなくなったのを
あげはが目で確認すると
「ねぇ、3人にさ。
私の……口からも直接
聞いておきたいんだけどね」