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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第31章 その名を継ぎし者


そして次の日の朝


あげはが鏡台に向かって
身支度を整えていると
杏寿郎が後ろから声を掛けて来て

「あげは。今、いいか?
その、……今日の事なのだが。
俺は…、朝の稽古が済んだら
……少しばかり用があってな。
行きたい場所があるのだが…。
俺が留守にする間、少年達を君に、
頼みたいのだが構わないだろうか?」

「え、ええ。
昨日は、私も出かけさせて
頂きましたので、
私は一向に構いませんが…」

「後、朝の稽古は
君は……湯を使ってからにした方が
いいんじゃないのか?
その…竈門少年は鼻が……いいだろう?
俺は昨日禊をしたが……、
君から俺の匂いがするだろうしな」

そう杏寿郎が
指摘をするかのように言って来て

そうか 炭治郎君……
嗅覚が敏感なんだった

あの時すぐに
拭き取りはしたけど

きっと私の身体には昨日の

杏寿郎の出したものの匂いが

他の人には分からなくとも
炭治郎君にはバレてしまう……か

「でも、私が朝から
一番風呂を頂く訳にはまいりませんので……、
私も禊をしてから稽古に合流致します。
香りの強めの香油の入った
石鹸も持参しておりますので…」

流石に女である私が
ましてや月の物の最中に
主を差し置いて こんな時間から
一番風呂なんて頂ける訳がなく


中庭にある井戸の隣には
小さな禊所が備え付けてあり

個人の屋敷ではあるが

道場を神聖な物と捉える
武士道精神に基づいた

いかにも 杏寿郎らしい…場所だと

感心していると

ああ でも 前に
杏寿郎のご実家に
お邪魔した時も中庭の井戸の隣に
禊をする為の場所があったから……

それで ここにも
それを作ったのかも知れないが…

バシャ バシャと
本来なら頭から水を被るべきではあるが

そうしてしまうと髪を
乾かすのに手間取ってしまうので

井戸の水をくみ上げて
自分の白装束に包んだ
身体に掛けて行く

随分と…こうして禊をするのも


久しい……気がする


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