第29章 蝶々達の戯れと入知恵
「これ…、
こうしたら、金魚さんみたいね…」
「むぅ~。むんっ!んんっ♪」
「そうそう、
ここがお顔で、ここが尻尾…」
そう言いながらも
足りないパーツをクレヨンで
書き足して 背景を付けて行くと
ますます金魚らしい絵になって行く
完成した絵を禰豆子が
嬉しそうな顔で眺めていて
「んっん~ん♪」
「気に入ったのかな?なら、良かった」
ガバッっと抱きつかれて
自分に抱きついている
禰豆子の頭を撫でてやる
ガラッと襖が開いて
炭治郎達が戻って来る
「お風呂、上がりました。
あげはさんも、入って来て下さい。
おおっ、禰豆子。金魚じゃないか。
これ、禰豆子が描いたのか?
上手いじゃないか」
「炭治郎…、絵、下手くそだもんな…」
「下手くそじゃない!
ちょっと独創的なだけだ。
個性が溢れていると
言ってくれないか?善逸」
後ろに居た伊之助が
興味なさそうに鼻くそをほじると
「んなもん。
どっちでもいいだろーがよ。
健太郎の絵が、
上手かろうが下手だろうが」
「禰豆子ちゃん、今度はこの黄色の
クレヨンでここにグチャグチャって
描いてみてくれる?」
「むんっ!」
あげはにそう言われて
禰豆子が白い新しい紙に
黄色のクレヨンでグチャグチャと
殴り書きをしていく
何をするのだろうかと
三人がそれを見ていると
そこにあげはが赤や緑 橙色
部分的に黄土色や山吹色を足して
少し茶色で影を付けて行くと
「すっげぇええええっ!!
あげるっ!!すっげぇな、お前っ!!
これ、天ぷらじゃねぇかよっ。
お前、天才じゃねぇかよ!!」
伊之助が完成した絵を見て
歓喜の声を上げたのは言うまでもなく
禰豆子が描いた
ぐちゃぐちゃの殴り書きは
あげはの手で見事な天ぷらの
盛り合わせに変わっていたからだ
「禰豆子ちゃん、これ伊之助に
あげてもいい?」
「んんーんっ♪ん!」
ずいっと禰豆子が
天ぷらの絵を伊之助に差し出して
伊之助がそれを手にする