第29章 蝶々達の戯れと入知恵
「いや、今、めっちゃそうかって
言ってたよね?お前。
…俺、聞いたから!」
そう言って
ギャイギャイと喧嘩を始める
2人をなだめようと
炭治郎が右往左往している
「ああ、もうっ!ふたりとも、
いい加減にしろぉーーーーーおおおっ!!」
炭治郎の怒声が辺りに大きく
こだましたのは言うまでもない話だった
ーーーーー
カナエの墓前には白い菊の花束が
供えられていて
「でも、珍しいんじゃないの?
不死川君がおはぎじゃないもの
くれるって…カナエちゃん。
私ね…、聞いたよ?あの話
…しのぶちゃんから…聞いた…よ」
ヒタッとあげはが
カナエが眠っている墓石に
そっと手を添える
言いたい事は… 沢山あった
でも それをここで 吐き出した所で
今は亡き 親友を困らせるし
悲しませるだけだから
「ここに来るまで…、ずっと悩んでた。
それを、今のカナエちゃんに
言ってもいいのかって。
どうしてっ…ーーーーたの?
どうし…て。良かったのに、
…ーーって、、くれたらっ…良かったのにっ」
言いたい事
きっと これだったんだろう
他にもあったんかも知れないが
言いたかったのは きっと…この言葉だ
言って 欲しかった
頼って 欲しかった
隠して 欲しくなかったのに
「カナエちゃんに、
…みんな押し付けちゃって。
ひとりで、我慢…ばっかりさせちゃって…。
それなのにっ、…私は…」
きっと ずっと 悩んでたはず…なのに
ずっと 苦しんでた はずなのに
気が付かなかった
気付いて… あげられなかった…
「聞きたかった…よ、
私っ、聞きた…、かった。
言って欲しかった、
カナエちゃんから聞きたかった。
もっと早く、…それを知ってたら…」
そこまで言って ハッと気が付いた
知ってたら? 知ってたとして…
何か 変えられたんだろうか?と言う事に
結局 彼が彼でない物に
成り変わって行っているのは
知っていたんだ
それは きっと 変えられない
だとしたら…