第29章 蝶々達の戯れと入知恵
杏寿郎は目の前の光景に
目を見張っていた
「…ん?少年達、その瓢箪は
…あげはから貰ったのか?」
そう杏寿郎が驚くのは無理もない事で
それは炭治郎達の手に
あの時あげはから渡された
あの強度が強化された
小ぶりの瓢箪があったからだ
「ええ、そうなんです。煉獄さん。
あげはさんから課題だと渡されました」
「そうそう。
これを蝶屋敷でしたみたいに
吹いて壊してみてって
言われたんです、俺達」
杏寿郎の問いに炭治郎が答えて
それに善逸が補足するように言った
その隣で伊之助が顔を真っ赤にして
瓢箪を吹いていて
「あぁん?なんだよコレっ?
吹いても吹いても
空気漏れっじゃねぇかよ。
壊れてんのかぁ?」
「違うぞ、そうじゃない。
あげはさんは、これは全集中の呼吸だけじゃ
壊せないって言ってた。
きっと、それだけじゃ
壊せない様になってるんだ。
伊之助、闇雲に吹けば
いいってもんじゃないぞ?」
「あ!あれじゃないの。炭治郎」
炭治郎の言葉を聞いて
善逸が何かに気が付いたのか声を上げた
少年達の口振りを聞いて
俺はある事に気が付いた
あげはが俺にした様な
二段呼吸の説明を一切少年達に
していないと言う事に
果たして あげはのその行動が
意図する所は…どこなのだろうか?
お手並みを拝見…するとしよう
あげはからは 何も聞いていないから
俺に指導しろと
言う意味でもないとするのなら
あげははそれを少年達に説明する
必要がなくてその方法を少年達が
自分達で気が付くと
…そう踏んでいると言う事か
「あ。何だよ?紋逸。
なんか、わかったのかよ?」
何かに気が付いた善逸に
意味がわからなくてイライラした様子の
伊之助が尋ねた
「あげはさんが、してるみたいな
呼吸したらいいんじゃない?」
ああ そうか我妻少年は耳がいいから
俺の耳では同じ音に聞こえる
呼吸の音のわずかな違いも
我妻少年なら聞き分けられるのか