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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第28章 巡る流れと蝶と蝶


アイツは煉獄のモンだってぇのによ

本当は もっと早くに
アイツをそうしようと思えば…

俺には 出来たのかも知れねぇ…な


それが 俺に出来なかったのは

透真サンへの遠慮と…
それから… もうひとつの後悔の所為だ


もし 仮に
アイツと そうなった所で…だ

それに 俺がそうじゃないと
否定したとしても

あげはの中にある 
自分は カナエの代わりだと言う
勘違いにも似た 
思い込みは取れねぇだろうし…な

「俺と居ても…、アイツは
幸せになんかなりゃしねぇ。
自分を責めるだけだァ…」


くすくすくすと
背後から良く知った懐かしい笑い声が

聞こえた気がして


不死川がハッとする


その後ろに感じる気配の方に
振り向かないままで

不死川が漏らすようにして

それでいて 聞こえる様にして言った

「何、笑ってんだよ。
…俺が、こうなのは
お前だって、知ってんだろーがよ?」


”私 心配なの 不死川君
だから あげはちゃんの事
見ててあげてね?

しっかりしてるようで 
しっかりしてないもの”


あの時の カナエの
言葉が脳裏に浮かんで


「そもそも、お前が…
頼んだんだろーがよ。あげはの事、
アイツの事を…俺に。
んな事、俺みたいな奴に
頼んでんじゃねぇよ…」

ひらり ひらりと

不死川の目の前を

一匹の蝶々が 飛んで行く

ひらり ひらり… ひらり


無意識だった


そうして何をする訳でもないのに


不死川が その自分の前を
飛ぶ蝶に 手を伸ばした


その手が 空を切って

掴んだ手の中には 何もない…


ひらひらと 蝶は空へと飛んで行く


「あれは……」


その先に もう一匹の蝶が居て

ひらひらと 二匹の蝶が

ゆっくりと 円を描きながら


高く 昇って行く

高く… 高く


手の届かない所へ… 飛んで行くのを


ただ 静かに


不死川は 見上げていた


何も 言わずに


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