第28章 巡る流れと蝶と蝶
こちらは彼を思いっきり
睨んでいると言うのに
フッと目の前にある
不死川の顔が笑顔になって
「ちゃんと、泣き止めるじゃねぇかよ。
そんでいいんだよ。出来んじゃねぇか」
不死川の大きな手にぐしゃぐしゃと
頭を撫でられてしまって
自分が犬か猫にでもなった気分だったが
「ちょっと、犬か猫みたいにしないでってば。
不死川君が変な冗談言うからでしょ?」
「冗談…で、言うかァ?んな事。
…冗談にしてんなら、
そうしといてやらねぇでもねぇが。
もし…、こん戦いで。
アイツが、煉獄が死んだら…、
そん時は、面倒見てやらぁ」
杏寿郎が… 死ぬ?
そうなったら 面倒見てくれる?って
「縁起でもない事、言わないでくれる?
不死川君。それに杏寿郎が
死ぬような状況なら、私は…彼に」
透真の目的は
杏寿郎を私の目の前で殺す事
そして そうした暁には
私は…
透真に捕らえられるって意味だから
いや 待って それってもしかして…
そう言う 意味…なの?
まさか…ねぇ?
「俺ァ、先に帰んぞ?じゃあな。あげは」
「あっ、ちょ、不死川君っ?」
不死川の言葉の意味をあげはが
確認しようと思って居ると
そう一方的に告げると
あげはからの返事を聞かずに
そのまま足早に共同墓地を後にする
そのまま 振り返らずに
不死川は足早に来た道を引き返していた
はぁっと深いため息を
不死川がついて
足を止めずに
チラッと振り返ると
「格好悪ぃ…わなぁ、俺。
…それにアイツは、自分の顔が
カナエに顔似てっからだと、
思い込んでやがるが…。
そうじゃねぇ…、つうのによ…。
アホかよ?アイツ。
違うかァ、アホは俺か…だわな」
言えば良かったのか アイツに
俺の気持ちを…
それとも強引にでも
唇でも奪えば良かったのか?
煉獄なんかやめとけって
俺にしとけって言えば良かったのか?
それをして そんな事をした所で
どうなるってんだ?