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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第28章 巡る流れと蝶と蝶


俺はいつもみたいにして
傷をアイツに縫って貰いに行ってたんだ

もう またなの?不死川君と

呆れられながらも
顔はいつもの笑顔で


ちょっとばっかり 困った笑顔になるが

その困った笑顔も…悪かねぇと

そう思って その顔を見ていた

ああ コイツは綺麗な顔してんだなって

ふと気が付いて


その時に俺の傷を縫うのに
そこばかり見ていた
カナエが顔を上げて


視線がぶつかり合った

その視線がぶつかった
そのほんの一瞬が
数秒の時間だったのに

酷く 堪らなく 長く感じて

時間が止まっちまったんじゃねぇかって

ハッと 現実に引き戻されて

慌ててお互い視線を逸らせた


「わ、悪ぃ、その…見つめちまって…」

「ううん、いいの。
私の方こそ、ごめんなさいね。
不死川君の顔、
見つめる様な事しちゃって…」


傷の縫合を終えると
でっかいでっかいガーゼを
大層にテープでベタベタに貼られて


「はい。お終い。
終わったわよ?不死川君」

「ん、おう。
いつも悪ぃな。助かったわ」



「ねぇ、…不死川君、
少し話せないかしら?」



そう言って来た アイツの
カナエの顔にはいつもに笑顔が無くて

あんな風な表情をしているカナエを
見たのはあの時が最初で最後だった

「あん?話ぃ?
話が何だって言うんだよ、一体。
そんな顔するってェ事は、
込み入ったやつかァ」

不死川がそう尋ねると
笑顔がなくなっていたカナエの顔に
いつもの笑顔が戻って

「そうなのよ。
それもものすっごく、込み入ってるの。
あまりにも込み入り過ぎてて。
だから…、しのぶにも
話せない話なんだけど、いいかしら?」

いいかしら?とはお伺いは立てては
居ちゃあ居るが…

笑顔だが 威圧感が凄いな…

その笑顔と言葉には

断らせない

謎の圧があるのを
不死川は感じていた

それにしても 
実の妹にも話せない話ってぇのは

些か 聞くのも恐ろしい話じゃねぇかよ
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