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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第28章 巡る流れと蝶と蝶


不死川にそう言うと
あげはは水を汲みに井戸へ向かった

先に行ってと言われたので
不死川はその場に留まって
あげはの後ろ姿を見送った


アイツの あげはの事だから

水こそ汲みには 行ったが

きっとそれより長く
時間を取って戻って来るだろう

そう言う奴だからな アイツ

「行くかァ…」

一足先にカナエの眠っている
墓の前に立つと

その墓前に持っていた
白い菊の花束を供えた

「ほらよ、これ。土産だァ。
わぁってんだぞ?
お前の、仕業…だろ?カナエ。
ったく。何、引き合わせてんだよ?
余計な真似しやがって…」


ー『もう、不死川君ったら。
そんな事言って、
…私は何もしてないわよ』ー

頭の中に 今は亡き 
カナエの声がして来て

俺が こう返って来るだろうなって
想像した アイツの返事だったりする…が

きっと 俺の言葉にお前はそう言って
いつもの笑顔で… 笑うんだろうな…


あの 笑顔で…


忘れ かけていた

記憶が薄れて来ていた


一時で在ったとは言えど

想いを寄せていた 女だったてぇのに…だ

その顔も 声も 笑顔も…


月日が経つ間に 忘れて行っていた

ひたすらに 鬼を斬る事だけに

明け暮れて… そうしてる内に



少しずつ

そう 少しずつに… 忘れて行ってたんだ


それなのに 今日 アイツを見て

その記憶がハッキリと蘇って来ちまった…


ああ くそッ… 


余計に腹立たしくさえ 感じてしまって


もうこれだけの 時間が経てば

大丈夫だと思ってたってぇのにだ


「聞きたい事があったんだ…あん時、
お前が俺に言った事、
それは…今じゃねぇか?カナエ」


アイツが カナエが生きていた頃

俺はアイツに あるお願いをされた


スッと不死川が瞼を閉じて
その時の事を思い返す


俺は あの日…

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