第28章 巡る流れと蝶と蝶
「杏寿郎っ!!
わざとでしたのですか?怒りますよ?」
「嘘は良くないぞ?あげは」
「嘘って、何の事っ…」
自分の感じている不満を
彼にぶつけようとしたのを
彼に唇を塞がれて
そのまま深く口付けられて
さっきも気が付いたのだが
その…当たってる…んだけども
彼の 杏寿郎の硬くなってるの…が
「あの、離して…頂けませんか?その…」
「別に俺は、今君がそれに
応じられないのも知っているし。
竈門少年達が居るから、そう出来ないのも
俺にだって理解できているがな?」
「でも、杏寿郎っ…仰っているお言葉と
なされている行動が、
かみ合っておりませんが?」
そのまま 手首を掴まれて
布団の上に押し戻されると
上からその瞳に見下ろされる
「だからと言って、…口付けるのまで
我慢する必要もないだろう?」
「確かに、口付けるなとは
私も言ってはおりませんがっ…」
『炎柱様ー?継子の皆さんが
稽古をお待ちになられてますので、
そろそろご起床をお願い致しますぅ~』
襖の向こうから春日の声が聞こえて来て
慌てて身体を離した
てか 春日さん
こんな距離に居たのに…気が付かなかった
気配… なかったな 全然
「杏寿郎、あの…っ、春日さんって」
「春日か?春日は隠だが?
今も時折仕事をしてる、隠としてもな。
春日は事後処理班ではなく、
隠密の調査向きの隠だ。イメージとしては、
忍に近いかも知れないが…」
そう言われて ああと妙に納得が行った
あの人懐っこい性格なら
直ぐに周囲に打ち解けて
重要な情報も探れるだろうし?
潜入とかにも向いてそうだ
鬼の事を探るなら
別に 隠でなくてもいいのだが
ごくまれに
人が鬼と通じていると言う事もある
鬼と協力して恩恵を受ける
それを当たり前にしている人間が
闇の中に紛れ 私腹を肥やしている…
そんな 事実が
横行しているのも… また 確かなのだ