第28章 巡る流れと蝶と蝶
チュンチュン…
室内にわずかに差し込む朝日と
小鳥のさえずりに
あげはが目を覚ますと
夜が明けていたのだと気が付いた
結局 髪の毛
ちゃんと乾かさずに寝ちゃってた
確かに眠りに就いた時には
杏寿郎の身体を抱きしめていたはずなのに
知らない間に
彼に抱きしめられていた様だった
腕を除けて 体を起こしたい所だが
しっかりと抱きしめられていて
抜け出せそうにない
トントンと彼の肩を叩いて
「もう、朝ですから…、
起きて下さいっ…杏寿郎」
「んんっ…、朝…か?もう少し…」
そう声を掛けるも
彼が起きる気配がなくて
ふと思い出した事があった
前にもこんな風に彼に抱きしめられて
身動きが取れなくなった時があったなと
「あげは…、好きだ」
そう言ってスリスリと頬を擦り寄せられて
杏寿郎まだ 半分寝てるとか?
寝ぼけてるのかな?
そのまま唇を塞がれてしまって
口の中に舌を滑り込ませて来て
やっぱり 寝ぼけてる…
「んっ…、ふっ、ん…ぅ…」
「あげは…、
まだ起きなくても…いいだろう?」
そう耳元で囁かれて
耳の縁を舌で舐められる
そのまま首筋にまで
舌を這わされて行くと
ビクンと思わず
自分の身体が反応して跳ねる
「はぁ、んんっ、杏寿郎?
…寝ぼけてないで起きて下さい…」
首筋に何度も口付けられて
舌を合間に這わされると
チリッとした痛みにも似た感覚が
ほんの一瞬だけ走ったのを感じた
腰の後ろへ手を回されて
腰を引き寄せられ
ある事に気が付いた
更に唇を寄せて来ようとする
杏寿郎の顔を自分の手で止めると
「もう、朝ですので。ふざけていないで、
お戯れはそれ位にして、起きて下さい?
杏寿郎。朝の稽古のお時間ですので」
「随分と、君は今朝は
目覚めがいいのだな。朝は弱いから
止めて来ないかと思って居たが…」
その杏寿郎の言葉に
以前の煉獄家で
朝の彼にそうされた時の事を
思い出してしまって