第28章 巡る流れと蝶と蝶
「ついでだったから、
伊之助にはこれあげる」
ポンと伊之助の手の上に
あげはがある物を置いた
伊之助の手の上にあったのは
キラキラと光り輝く
宝石の様なカットが施されたガラスで
「禰豆子ちゃんには、ピンク色ね。
だって前に伊之助、私の指輪の事
綺麗だって言てたでしょ?流石に宝石は
あげられないけど、ガラスだったらね?」
「すっげぇえ!!何だこれっ、すっげぇな!
めっちゃキラキラじゃねぇかよ!!」
キラキラと光を放つ
カットされたガラスを伊之助が
嬉しそうに電気の方を向けて眺めていて
「とりあえず、
喜んでもらえて…良かったけど」
「ありがとうな!!あげるっ。
すっげぇ、いいのかコレ?
ぬははははっ。すっげぇぜ!
キラキラしてんじゃねぇかよ。
いいのか?貰っちまっても」
そう興奮気味に伊之助が尋ねて来て
ガラス一つでここまで興奮できる
伊之助も純粋で可愛いなと思えて
「うん。伊之助にあげようと思って
買ったんだよ?だから、あげる」
その後しばらくの間
少年達と過ごして
他愛のない会話のやり取りをする
そんな時間を過ごすと
頃合いを見計らって
自分たちの部屋に戻った
「そうしましたら、杏寿郎。
私は、お風呂を頂いて参りますので」
「ああ、そうか。
ゆっくり入って来るといい」
彼女が部屋を出てから
しばらくの間
先に敷いていた自分の布団で
横になってぼんやりとしていたが
あげはが風呂に入っている内に
彼女が風呂を済ませたら
すぐに休める様に
彼女の布団も敷いておこうと
思い立ち腰を上げた
二組の布団を少しばかり距離を取って
敷いてはみたものの…
いやこれは違うな…と
そう言った時期だからと言って
布団をわざと離して敷くのは
些かおかしいなと思い直して
少し離して敷いた布団を
今度はいつも通りに
ピッタリと引っ付けて敷いてはみたが
いや これはこれで…
違うのだろうかとも思ってしまって