第28章 巡る流れと蝶と蝶
「あははは、あげはさん
フグじゃなくて、金魚ですよね?」
「そうだよ?金魚、だからフグの事ね」
そうあげはが言って
炭治郎と善逸が声を上げたので
3人で見つめ合ってしまった
「胡蝶が…飼っている金魚だろう?
竈門少年、我妻少年。
胡蝶は少しばかり…だな」
「物に名前を付けるセンスが…
独創的なの…しのぶちゃんは。
って金魚の話ばっかりしてて
忘れる所だった…」
と禰豆子を退屈させてしまったかと
思ってそちらを見ると
禰豆子は電気の光で
キラキラと光る
ガラスで出来たビードロに夢中だった
「んっ~ん、んっー♪」
あげはが自分の分の
蝶の絵柄の入ったビードロを取り出して
禰豆子に見ていてと言うと
ビードロの吹き口に口を付けて
そーっと吹くと
ペコンッ…と 小さな
あの独特の音がして
「こうやって、そぉーっと吹いて
音を出して、遊ぶんだよ?」
そぉーっとねとあげはが
禰豆子に優しく言うと
こくこくと禰豆子が頷いて
あげはがそうして見せたのを
真似してビードロを吹くと
ポペンッ…と
高い音がして
禰豆子が不思議そうな顔をして
自分のやり方が違うのかと
言いたげにあげはの方を見ていて
「音が違うって言いたいのかな?
ビードロは大きいのや小さいのでも
音が違うし、同じ大きさでも
みんな、音が違うの。こればっかりは
吹いてみないとわからないけども…ね?」
あげはの言葉に
その音が自分のビードロだけの
音だと知って嬉しくなったのか
ニコニコと笑顔を浮かべて
何度もそれを吹いて見せてくれる
「ははははは。竈門妹は
ビードロが気に入ったようだな」
「だって、蝶屋敷の皆に買ったんだったら。
禰豆子ちゃんのも…ねぇ?要るもんねぇ~」
ありがとうと言えないからか
あげはの身体に自分の身体を
スリスリと擦り寄せてくる
善逸はその2人のやり取りを
拝む様にして見ていたが
伊之助はどちらかと言うと
ビードロの方に興味があったようだ