第4章 ちょっとだけ 分かったこと
ボォオオオオオーーーッ プシュゥー
汽笛の音が鳴り響いて 汽車が停車した
東京に到着したとのアナウンスが流れる
東京に着いたのは16時過ぎ
車内の清掃の為に一度
また降りる必要があった
17時過ぎには再び乗車できると
駅員に言われ ホームを歩いていると
「俺は、君と合流するまで、
半日汽車に乗っていたが
どうにも退屈で仕方なかった。
君が一緒で良かった!
君の話は、退屈する暇がないからな!」
ハッハッハッハハッと
彼らしい大きな声で笑った
やはり この人は豪快だなぁと思った
これを笑い話にするのだから…
2年間 誰とも付き合わないでいた
もう 誰かを好きになったり
付き合ったりとか
する事もないだろうって
…そう 思っていた
「あまり、1人で無理をしすぎるのは、
良くないぞ?」
顔を不意に覗き込まれて
いつもの大声ではなく
囁くような小声で言われると
ドキッとしてしまう
「なら、決まりだな!」「何がですか?」
「俺と、付き合ってくれるのだろう?」
「何でそうなるんですか?なりませんよ。
…そう分かってるのに、そんな簡単に
…前へは、進めませんよ」
あげはが否定的な言葉を言ったことに
杏寿郎が目を見張った
「君は、俺が嫌いか?」
「好きか、嫌いかと聞かれたら。
嫌いではないですが!だからと言って、
お付き合いをするとかって、
感じに好きとかではないですので!」
「はははは、なかなかに君は、手厳しいな。
まあ、そこもいいがな!」
どんっ と背後から人にぶつかられてしまって
よろけた体を支えられる
「っと、大丈夫か?」
「す、すいませんっ!」
「君は、危なっかしいな」
「そ、そんな言い方しなくてもっ!」
支えられた姿勢から
耳元へ口を近づけられて 囁くように
「だが…、そんな所も、可愛らしいな。君は」
と言った さっきも囁く様に言われたが
声が…さっきとは違う 甘い…
囁かれた 左の耳を押さえて
あげはが恨めしそうな顔をして
こちらを睨んでいた
「そ、そんな声。出せるんじゃないですか!」
「ははははっ。耳元で大声出す方が
良かったか?」
「耳元でいつもの声出されたら、
耳が潰れますから!」