第4章 ちょっとだけ 分かったこと
最後に恋人と別れたのは
この場合彼に恋人を殺されてからと
言うべきなのかもしれないが…
「2年…程になるけど…?」
「なら、もう、十分だな!」
「十分って何が?」
私には何の事かわからないが
彼には理解できている様だった
「その2年の空白は、君がもう二度と誰かを…
愛したりしないと、…決めるための時間だ」
もし…その2年の 空白の先に…
誰かを愛したいと思ったのなら
決めたのなら…
その相手こそが 彼が必要としている
私が鬼になると… “言わしめる”為のもの…
でも だったら…
しのぶちゃんだっていいはずだ
私にとって大切な人間であるのに…
違いないのに?
なぜ 彼は…そう言う相手に限定するのか?
「君にとって彼は、絶対的な
存在だったんだろう?」
と杏寿郎に言われて あげははハッとした
「言われて、何となくだけど…
分かったかもしれない」
彼にとって 必要なのが…何なのか…
私にとって
絶対的に必要な存在である必要があるからだ…
かつての彼が 私にとってそうであったように…
「だったら、他の絶対じゃない人は
…殺す必要あったの?」
絶対の存在でない恋人達は
殺す必要もなかったのでは?
「だが、その相手が死んでなければ。
君の絶対は新しく出て来ないだろう?」
確かに その恋人達とは惰性な付き合いを
していただけだろうけども
恋人を作れば殺されると 私が知れば
おいそれとは新しい恋人は作らないだろうし?
現にそうしていた 訳なんだから
その 状態でも側にいて欲しいと願う相手は…
私にとって… 特別な…
絶対的に必要な相手と言うことになる
「でも、だったら、…尚更、
ダメに…決まって」
「だが、俺は引くつもりはないと。
何度も言ったが?」
「それは聞きましたけども!」
「俺1人でなくて、…君と一緒ならば、
どうだ?」
「一緒でも、2人で戦ったとしても。
…無理だと思いますよそれにそこまで…、
死にに行くような事しなくとも…」
「俺は、本気だが?俺に命を懸けさせるのが
不満か?それに…俺は柱だ。
脅威とも呼べるような鬼は、排除せねばな」
命なら いつも懸けていると言いたいのか
こんな仕事をしてるのだ
自分の命を惜しむ気持ちはとっくにないか…