第28章 巡る流れと蝶と蝶
ガラッと障子を開くと
影が中から飛び出して来て
そのままあげはに
飛びついて来たと思ったら
「きゃあっ」
その勢いであげはの身体は
そのまま畳の上に転げてしまった
ギュウウウっと
自分の身体に
禰豆子がしがみついているのが
自分の身体に掛かる重みで分かって
「こらっ、禰豆子!ダメじゃないか、
離れなさいっ。すいませんっ。
あげはさん、大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫。
いいのいいの、久しぶりだもんね。
禰豆子ちゃん、会いたかった…?
私も…だよ」
自分の身体にしがみついて来る
禰豆子の身体を包む様にして
ぎゅっと抱きしめ返してやる
よしよしとその頭を撫でると
頭を撫でられた禰豆子が
嬉しそうに目を細めて
自分の頬をあげはの頬に擦り付ける
「あん、もう、ダメよ?禰豆子ちゃん。
スリスリは、今はダメなの。
だって、まだ、お化粧してるから。
禰豆子ちゃんのお顔に付いちゃう…。
あー、もう、ホラ。私のお化粧が
可愛いお顔に、移っちゃってる」
そう言いつつも
自分の着ている着物の袖口で
そっとその汚れを拭ってやる
んーっと目をつぶって
口を尖らせつつ
あげはさんにそうされている
禰豆子を見ていると
まだ禰豆子が幼い頃に
蒸かし芋を食べる度に
自分の頬に食べかすを付けるのを
母さんが 同じようにして
拭ってやっていたのを
炭治郎は思い返してしまって
禰豆子が満更でもない表情を
浮かべているのを見ると
禰豆子も そうなのではないかと
炭治郎には思えて来てしまった
今の禰豆子に 言葉で
それを確認をする事は出来ないが
禰豆子は…あげはさんの事を…
「そうしていると、
姉妹…と言うよりも。親子の様だな」
そうぽつりと杏寿郎が漏らした
炭治郎が感じていた事と
同じ様に杏寿郎も感じていて
「禰豆子は、長女なので
甘えられるばかりだったから。
甘えられるあげはさんの事が、
大好きみたいです」
そう言って炭治郎が微笑んだ
それから過去を懐かしむ様にして
その2人を見つめていた