第28章 巡る流れと蝶と蝶
「そうそう、そっち。
炭治郎君には見えてるのね。
それが、脳に繋がってる方の道…
内頚動脈とその後ろにあるのが、
椎骨動脈ね…。そこから幾重にも
枝別れてしてる血管の枝を見ていると…。
見えてくるはずよ?
その流れが淀んで、滞ってる所…」
「わぁあああっ!!
なにっこれぇええええっ!
うぇええっ。気持ち悪いっ、すんごい、
気持ち悪いんですけどぉおおおっ!!」
自分が掴んだ
脳内を流れる血流の動きに
善逸が突然大きな声を上げて
飛び起きる
「気持ち悪い事なんてないぞ?善逸。
こうして…身体の流れを
ずーっと追って行くと
全身に、それが巡っていて、頭の先から
足の指の先の一本一本の先まで
それが、道で繋がってるのが見える…んだ」
よしよしとあげはの手が
炭治郎の頭を撫でる
「ぬはははははっ。
これ!面白いじゃねぇか!
身体ン中、見えるじゃねぇかよ。
あげる!これ、すっげぇな!ぬははは」
伊之助は小さな探検隊になって
自分の身体の
大冒険でもしているのだろうか
大きな声を出して笑っている
良くできましたと善逸と伊之助の頭も
同じ様にしてよしよしと撫でた
縁側で冷茶を飲んでいた杏寿郎が
空になったグラスをお盆に置く
「俺は以前、竈門少年に呼吸の応用で
止血する方法を教えたが…。
君はそれによって、
体内を視る方法と任意の場所に
血流を集める方法を教えた訳か…」
「そう言えば、
何でもできる訳ではないって
あの時、煉獄さんが…俺に」
炭治郎が横にしていた身体を起こして
杏寿郎の方へ視線を向ける
「呼吸を極めれば
様々な事が出来る様になる。
なんでもできる訳ではないが、
昨日の自分よりも確実に強い
自分になれる、そうだろう?竈門少年」
そう言って杏寿郎が
炭治郎の方へ視線を向けて
ニッと笑って見せた
杏寿郎が正面に向き直り
腕組みをしながら
中庭の方を眺めつつ
「だが、…あの時あの列車の中で
君に頼んだのは正解だったな」