第28章 巡る流れと蝶と蝶
彼は私がそう言う話をすると
長くなるのを知っているから
聞きたくはないんだろうけども
「いえ、今は取り込み中ですので。
私から単糖類、二糖類、多糖類の話でも
聞きたいんですか?私の見立てであると
一時的な脳内での急激な酸素と糖分の
消費が高まった事によるものかと。
頭痛やめまいの症状が出ていますし…
脳貧血と低血糖の両面からのアプローチを…」
と話し込んでから
杏寿郎の表情をあげはが確認して
「杏寿郎は、
あそこで冷茶でも飲んでいて貰っても?」
と杏寿郎に行動を指定して
縁側の方を指さした
その白い甘くて酸っぱい液体を飲み干すと
「炭治郎君も、ここで横になって」
頭を低くした布団に寝かされる
深呼吸を促されて
それをしばらく繰り返す
そうすると 前にあの列車で
煉獄さんに止血方法を教えて貰った様に
自分の任意の場所に
血流を意識して集める方法を
レクチャーされる
「でも、善逸君はすぐ出来るでしょ?
いつも霹靂一閃する時に
足の筋肉に血流、集めるよね?
それと同じ事だよ、
それを脳に集めるの…イメージして」
ここと炭治郎の額に
あげはが手を添えて来る
そこに集める様にイメージをすると
頭の辺りが温かくなって来る
「そう、上手よ。炭治郎君。
そう、そのまま…。
そうして、集めて来たら…そこで
流れを作るの、巡回させるイメージね…」
「あん?こうかよ?」
イライラした様子の伊之助が
あげはにそう尋ねて来て
「もう。伊之助は相変わらず…。
はい、目を閉じる」
そう言って伊之助の目を
自分の手で覆うと
伊之助の目を閉じさせる
「意識して…血液の流れてる道。
そう、血管ね…頭の中にある、
その血管を意識してくれる?
流れてる流れの形…
意識したら血管が見えて来るから」
そう言って立ち上がると
善逸の頭元に座って
善逸の首の拍動する部分に触れる
「心臓から血液が大動脈を通って、
それが頸動脈に。ここね、首の脈を
打ってる所。それから浅側頭動脈へと
繋がるけど、脳の中に
栄養してるのはそっちじゃなくて…」
「あげはさん、
首の…中の方のやつですね?」
炭治郎が気付いた事を
あげはに確認する様に尋ねる