第4章 ちょっとだけ 分かったこと
「だが、心配には及ばん!
俺は…、柱だからな」
確かに貴方は炎柱ですけども…ね?
「剣には多少、覚えがある!!」
「それは、そうかも…しれないけども…」
この前に任務に同行した折に
彼が戦っている所を見たけれど
今の9人の柱の中でも
恐らくはトップクラスの実力の持ち主だろう
悲鳴嶼さんには及びはしなくとも
不死川君と並ぶか
もしくはその上 いや…その下かな?
どちらにしろ 僅差であるのは違いない
「それに、俺はまだまだ強くなる!
今よりも、一年、二年もすれば」
彼の剣は 更に磨きがかかり
熟練されて研ぎ澄まされるに違いない
「だから、安心するといい!」
「へ?何が…、安心…って」
「俺が死ぬような事はない!
だから、君は安心するといいと言っている!」
うーんっとあげはが
唸り声を上げながら考えて
「確かに、君は強いよ?それは認める…けど
でも多分、…君じゃ、無理なんじゃないかって
…私は思ってる」
「そうか。それは…、確証があるのか?」
この場合の確証とは
その相手が あの人で間違いがないのか?
と言う確証なのか
あの人が“鬼”になっているのか…?
と言う確証なのか
「まだ…、私の推測の範疇でしかないけど
、恐らくは…」
あの人が 犯人なのだと思うに値する
証拠しかないけど
「なるほど、そこまでに彼は強いのか?」
「鬼殺隊最強の水柱…と称されるくらいには…」
5年前 彼女に初めて求婚した時
彼には出会ったが…
かなりの手練れである事には違いなかった
元々かなり いや相当の使い手
そして それが鬼になっているとあれば
まさしく “脅威”だな
「でも、…一つ、わからない事があって…」
「何だ?」
「仮にそうなのだとしたのなら、
ここまで時間を掛ける必要が、
あったのかなって事…」
「じゃあ、聞くが。君は…鬼になるのか?」
腕組みをしながら杏寿郎が言った
「ならないよ、そんな…。鬼になんて」
「そこだ」
彼が時間を掛けている理由があるとするのなら
私が鬼にならないから…?って事?
杏寿郎の視線は鋭く
ここじゃない何処かを見据えている様だった
少なくとも 私が見ている 見えている
その先の所まで 見透かしている様だった
「君は…、どれくらい、1人でいる?」