第27章 あの人の声と音の波に重ねる呼吸を
遥か上空に
あげはの姿を捉える事が出来て
「ひえぇええっ!嘘っ、嘘でしょ?
あんな上どうやったら、行ける訳ッ?
あの、一瞬で?信じらんないんですけど!
いやいや、あんな高所から
突っ込んで来たりとかって…しないよね?」
「いや、来るだろ。普通に」
善逸が信じられないと言いたげに
漏らした言葉に
杏寿郎がそう返事を返すと
呼吸は禁止だが
あの動きの構え
霹靂波紋突き…で来るな
ならば 俺は
盛炎のうねりで受けるまで
呼吸は使えないので
その動きだけをなぞり
木刀をふるう
カァアアアンンッ
木刀がぶつかり合う
乾いた音が響いたが
木刀に掛かっていた圧が無くなった
もう目の前にあげはの姿はない
ザリッと地面を蹴る音が
3時の方向から
あっちか
こちら向かって来るその姿を確認する
あの動きっ 不知火だな
昇り炎天でそのあげはの繰り出した
不知火の動きの一撃をうけ流す
「あ」
と目の前であげはが声を上げて
お互いの木刀で鍔迫り合いをした形で
動きを止める
「どうした?」
「いえ、つい…。
自分達の方に集中してましたが。
炭治郎君達を忘れていますよ、杏寿郎」
そちらへ その言葉を受けて
視線を向けると
こちらを3人が見ていて
「ああ、終わったのか」
そう言って杏寿郎が
自分の木刀を降ろした
「何だ?続きしねぇのか?」
「いや、どうせなら、
呼吸を使う方がいいと
思って居た所だからな。
して、少年達。どうだった?」
それは
3人で手合わせをしてどうだったのかと
いう意味だろうが…
「自分の戦い方を考える…、
自分と相手だけじゃない状況について、
把握するのが大事だって。思いました」
自分の両方の手を拳にしながら
炭治郎が力説する
「だったら、この稽古を詰めて行こう。
状況は俺が決める。そして、
その状況を俺が、途中で切り替える。
切り替えた瞬間から、それに従う様に。
いいな?」
「杏寿郎。さっきその稽古を
取り入れたばかりなんですよ?
それは、早すぎやしませんか?」