第27章 あの人の声と音の波に重ねる呼吸を
「杏寿郎っ…嬉しいです、
それもとても…。あの…」
善逸が音で何かを感じ取って
早くと合図をすると
炭治郎と伊之助の首根っこを掴んで
雷の呼吸を使って 部屋を後にする
「ちょ、どうしたんだ?
善逸…急に?って、あっ」
「あん?お前等どうして、
顔…赤くなってんだ…」
2人して赤面している
炭治郎と善逸を尻目に
意味が分からないと言いたげな伊之助が
ひょいと部屋の中を覗き込んでしまって
「こらっ!伊之助ッ、見ちゃ駄目だ」
「伊之助っ、ねぇ。
どうだった?どうだったの?」
「別にどうもねぇぞ?なぁ、紋逸。
アイツ等は番なんだぞ?番が番うのは
当然じゃねぇのかよ?」
「………番っ、って伊之助ぇえええっ。
お前っ、なんて事をっ」
伊之助の言葉に炭治郎が
更に顔を赤くしてしまって
「ちょっ、お前っ、
お子様だと思ってたら
そんな事を言っちゃう訳っ?
品がないしっ、ドストレートすぎっ」
「権治郎。それより、しのぶから
あげるに預かってたアレ、
渡さなくていいのか」
伊之助の言葉に
炭治郎がハッとして
「ああ。そうだ、こっちに来てから
バタバタしてて、忘れる所だった。
ありがとう、伊之助。お陰で思い出せた。
俺、しのぶさんからの
預かり物。取って来る」
そう言って炭治郎が
しのぶからあげはにと預かった
手土産を取りに行って
ガラガラと襖が開いて
杏寿郎とあげはが出て来る
あげはさんが視線をこっちから
逸らせながらも
こっそりと煉獄さんの手
ちょっと抓ってるだけど
中で何があったかとは
俺は想像しないけど
丁度炭治郎がお土産を持って
戻って来る
「あ、あげはさん。これ、しのぶさんから
預かって来ました。お土産だそうです。
何でも、この間のは
間に合わせだったけど。今度のは、
私が一から調合したので強力ですよって、
何かのお薬か何かですか?」
そう言って どうぞと
あげはに風呂敷に包まれた
瓶を手渡す