第27章 あの人の声と音の波に重ねる呼吸を
「だから、気を遣わないようにって
しのぶさんが配慮してくれたんだ。
善逸。俺は、そう言うのには、
疎い方だが……その」
「俺は、そっちの心配してんの!
だってあの人のさ、あの性格でしょ?
もうそれはあれなんじゃないの?」
「善逸っ。もう良さないか!!
もう、炎屋敷の前だろうがっ!」
「けど…」
どんな顔をして
門を叩こうかと思っていたら
何も気にしない伊之助が
声も掛けずにガラガラと炎屋敷の
玄関を開けてしまって
玄関が全開に開かれたと思ったら
そこにはあげはさんと煉獄さんが立っていて
「良く戻ったな、竈門少年達!
そろそろだと思っていたぞ」
「炭治郎君、善逸君、伊之助。
おかえりなさい」
そう言ってにっこりと
あげはが3人に笑顔を向けて
出迎えてくれて
そして やっぱり…なんだけども
あげはさんからもかなり濃い
煉獄さんの匂いがするので
俺はあげはさんの顔が直視できずにいて
でも 煉獄さんの匂いもするけども
あげはさんは……今… その
そう言った時期だと言うのも
俺の鼻には分かったんだけども…
余計に変な意識をしてしまって
知っている相手なだけに
恥ずかしくなってしまった
「まだ、昼餉まで時間もあるし
早速稽古に取り掛かるか?」
「ええ?今着いたばっかりなのにぃ~?」
杏寿郎の言葉に善逸が不満を漏らした
「まぁ、杏寿郎さん。
今、着いたばかりですし。
お茶でも飲んで、一息着いてからでも
いいんじゃないですか?」
そう言ってあげはが
お茶の用意しに台所へ向かって行った
用意して貰ったお茶を
縁側で並んで飲んでいると
伊之助がこっちを見ているのに
あげはは気が付いた
お茶を飲むのに被り物を外しているが
相変わらず伊之助は顔が良い
「あげる。お前、顔どうしたんだ?」
「え?私の顔?顔がどうかした?」
じぃーっと視線を向けられて
見られているのが分かる
「お前、顔、綺麗になってねぇか?
何かちげぇ、顔。何したんだ?」