第27章 あの人の声と音の波に重ねる呼吸を
それってもしかしてっと思い
「いりません、そんなに沢山のバラなんて。
置場にも困りますし、
枯らしてしまうのは嫌ですよ?私は」
「なぜ、分かったんだ?
俺が、君に999本の
バラを贈ろうとしていたのを」
「極端すぎるんです、杏寿郎は。
お気持ちだけで……、十分ですよ」
「そうか。まぁ、君ならそう言う
だろうと思ったが、
なら、枯れないバラならいいのだな?」
「枯れない…バラ、ですか?」
そっと頬に手を添えられて
重ねられる唇の予感を感じて
あげはは瞼を閉じた
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その頃 炭治郎達は
炎屋敷を目指して
移動している途中だった
炭治郎の手にはしのぶから
預かったあげはへの土産があった
「今度からは、煉獄さんだけでなくて、
あげはさんにも
稽古をつけて貰えるんだな」
「あげはさんに稽古かぁ~。
でもさ、でもさ、しのぶさんが
あげはさんから特別な呼吸を
教えて貰えって言ってたじゃん?
どんな、呼吸なんだろ?」
しのぶさんの話によると
あげはさんは他の隊士が使えない
特別な呼吸の応用法を
知っていると言う事だった
「ふははははっ!特別な呼吸か当然だな
俺様は特別だからな!当然っ!
使う呼吸も特別だって訳だ」
「でも、やっぱり……
その、気使うじゃん?
お互いにさ。あっちだってさ、
ホラ、結婚前なんだし?
イチャイチャしたいんじゃないかなぁって」
善逸の言葉に伊之助が訳が分からないと
言いたげな顔をして
「ああん?何だ?そりゃ、
イチャイチャって食えんのか?」
「お前っ、んな訳あるかい!
食べられないからっ。あー、やだやだ。
これだからお子ちゃまは嫌だわ~。
そら、お前、あれだよ、
……その想い合ってる男と女が
する事って言ったらなぁ?炭治郎?」
善逸の言いたい事は分かる
その 蝶屋敷から
炎屋敷に煉獄さんと一緒に来た日
あの日… 俺の鼻だから分かる事だけども
煉獄さんから
あげはさんの匂いがしていて
それもかなり 濃密な匂いだったから