第27章 あの人の声と音の波に重ねる呼吸を
稽古着に着替えると中庭で
2人で向かい合う
「早速で申し訳ないのだが、…指導を
君に願いたいのだが」
先日の約束通り あげはから
二段呼吸の極意についての
説明を受ける
「二段呼吸のやり方は二通りありまして…。
一つは右肺と左肺で呼吸を分ける方法です。
これなら、同時に呼吸ができますので」
「ん?それだと、肺に入る空気の量に
限界が生じないか?」
あげはが言った その方法について
杏寿郎が難色を示すと
ああ とあげはが納得したように言って
更に説明を続けた
「人間の肺の容量なんて限度が、知れてますよ。
肺活量を鍛える事は、ある程度できますが、
沢山吸えばいいって事ではなくて
吸う時にもしくは吐く時に……
呼吸を練ればいいんです。
だったら少ない容量の肺でする呼吸でも
精度の高い呼吸が可能になりますから」
見ていて貰っても?と言って
ブツブツと分かりやすいのは
水の呼吸ですねとあげはが呟くと
スッとあげはが目を閉じて
意識を集中させる
スゥウウウウッーーっと
水の呼吸で息を吸い始める
近くで注意深く彼女の呼吸を観察すると
気が付いた事がある
そうか
渦を作って呼吸が凄い速度で
回転しているのか
…その状態で吸い込む事で
決められた肺の容量の範囲で
呼吸を言わば 縄をなう様にして
圧縮していると言う事なのか
杏寿郎が腕組みをしながら
うーーーーんと唸り声を上げると
「あげは。呼吸の理屈は
君の説明で理解した…が。
しかし、さることながらに、これは……、
俺が思うに、一朝一夕では
体得出来うる物ではないのではないのか?」
「でも、して貰わないと困りますよ。
杏寿郎。炎柱の貴方なら、
今日の間にでも可能なのでは?」
そう言って はいと あげはが
通常のひょうたんよりも 二回りほど小さい
ひょうたんを杏寿郎に差し出した
ひょうたんなら
全集中の常中を体得する折に
特大の物を破裂させた覚えがあるが