第27章 あの人の声と音の波に重ねる呼吸を
「このひょうたんは、あの蝶屋敷での
訓練で使用している、ひょうたんの
特大のサイズよりも頑丈ですよ?
更に強度を補強する加工を
幾重にも施している物ですので」
と言って一旦言葉を区切ると
こちらを見てニッと
不敵な笑みを浮かべて来て
「言わば、柱専用の呼吸訓練道具ですので、
通常の全集中の呼吸如きでは壊れませんよ?
呼吸の圧縮を用いなければ
壊せない強度にしてありますから」
試しに吹いてもらえばわかりますよと
あげはに言われて
半信半疑にあげはから受け取った
その小さなひょうたんを吹くと
フッと込めた空気が漏れ出るのを感じた
穴でも 空いてるのか?
だが空いていたとしても
全集中の呼吸でなら
割ることは可能な筈だが
「杏寿郎さん、私は炭治郎君達に
これを使った呼吸を
指導するつもりで居ます。
私が、言いたい事は
杏寿郎さんなら…ご理解頂けますよね?」
「ふむ、成程。俺が先にこれを、
付け焼刃にでも体得出来て居なければ
柱としての名折れだと言いたいのだな?」
「呼吸の圧縮には…
基礎的な呼吸の能力を
底上げする効果が期待できますので。
常中のその先への
可能性を無視するのは、惜しいですから」
常中の更に先の呼吸…と言いたいのか
「そう言えば、先程、君はやり方が
二通りあると言っていたな。
して、もう一つの方法は?」
杏寿郎の言葉にあげはが
ああと言うと
「もう一つの二段呼吸の方法は、
肺を上層と下層に分けてする方法です。
どちらの方法でも、呼吸を練って
圧縮する事自体は
変わりないので出来る方でいいかと…。
練った方の重くなった呼吸を
肺の下層に沈めて、その状態で空いてる
上層で呼吸を更に追加するんです」
「要するに、呼吸が重くなるのだな」
気体にも質量の違いがあると言う
話は聞いた事がある
同じ構成の気体だとしても
圧縮して密度が増せば
重くなるのは道理と言う物…だな