第26章 傷跡の理由の裏側
子作り……?
しばらく 控える?
「…………」
「………………」
無言のままで 見つめ合う事しばし
子作り? え?でも貴方は
そうするつもりですよね?
現に そんな方向に話してたし
「…………は?」
「君がそうしたいと言う
所存なのであれば、しばらくは
控えた方がいいかと言う意味だが?」
「え?そんな話でしたか?
私は不覚にも、さっきの杏寿郎の言葉が
とても嬉しかったのですが…?」
さっきの杏寿郎の
言葉がとても嬉しかったし
彼の事が愛おしいって感じて
嬉しいって思ってたのに 損しちゃった
むぅっとあげはが黙り込んでしまって
むくれっ面をしていたので
これはこれで可愛らしいと思ってしまって
「そう、拗ねてくれるな、あげは。
拗ねている君もまた可愛らしいが、
だが…、あの言葉も
俺にとっては本心に他はないぞ?」
「だったら、杏寿郎はどっちなんですか?
どうしたいんですか?」
あげはがやや早口でまくし立て
答えを急くかの様にして尋ねて来たので
俺の言っている事が彼女の機嫌を損ねて
しまっているのは確かなのだが
「えっとだな、あげは…。
その、怒らないで聞いてもらえると
非常に助かるのだが……その」
「遅いです、杏寿郎。もう怒ってますので。
杏寿郎の返答次第でもっと怒るか、
今のままで済むかの違いだけです」
そう言って ふんと顔を反らされてしまって
まぁ あげはが怒るのは
無理もない話ではあるのだが
「毎回毎回、あんな風にしておいて!
そうするつもりがないと、仰るのですか!」
「いや、それは誤解だ!
そうするつもりがないとは、言ってない」
「だったら、
欲しい……って事ですよね?子供」
「欲しいに決まっている!それも…、君が
許してくれるのならば…多い方がいい!」
杏寿郎が拳をぐっと握りながら
そう力説する
「君には、ここ…で、俺の屋敷で
俺の帰りを待っていて貰いたいと。
そう思う気持ちもある。
それは、紛れもない俺の本心だ。だが…」