第26章 傷跡の理由の裏側
そして 彼は…
私の目の前に居る杏寿郎は
自分の腕の中に居る 私を
彼は私の影を
追い求めてるって 事?
「だから、……ですか?」
「何がだ?」
「杏寿郎が、私を…柱に戻したい理由です」
「俺は、嘘を付けないから言うが、
確かに君の言葉の通り、それもある。
だが、それ以外の理由もあるがな」
「それ以外の理由…ですか?」
「聞きたいか?俺が君を柱に戻したがる理由が。
あげは、君は君を過小評価し過ぎだ。
君にはその鏡の呼吸と、無限の可能性のある
複合呼吸がある。これは他の隊士に
おいそれとは真似出来る物ではない」
杏寿郎の言葉にあげはが顔を上げると
その赤い瞳が目の前にあって
私の顔を映していた
燃える様なその瞳に
見つめられることしばし
「鏡柱」
そう杏寿郎に呼ばれて
「君は、鬼殺隊を支える柱だ。
君の実力はそう呼ばれるにふさわしい。
より強固な組織を支えるに、
柱が多いに越したことはない。
何も、9柱の数に拘る必要も、ないだろう。
お館様には俺が話を通そう、そう思ってるのは
他の柱も同じ事だと思うが?」
杏寿郎の言葉の意味を察して
あげはが思わずその腕を掴んだ
「ダメです!私はそのつもりはありません!
私が、柱に戻るのは
その一戦のみです、それ以上は…」
「まだ、そんな事を言うのか?君は、
いい加減にしたらどうだ?少なくても、
不死川は俺と同じ思いだろう。
胡蝶や冨岡とて、それは同じはずだが?
甘露寺だってきっと、そう考えてると思うが、
違うと言い切れるか?」
「え。でも…、杏寿郎は私に鬼殺隊を
続けて欲しいとお考えなのですか?
その、この戦いが済んだ後…も」
あんな風に
いつ子供が出来てもいいような
そんな口ぶりだったのに
今言っている事は 矛盾してるような?
「言っただろう?俺は…嘘は言わないと」
杏寿郎は嘘は言わない…のならば
ならそれは どっちも
杏寿郎の本当の 気持ちって事?