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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第26章 傷跡の理由の裏側


帰りの馬車の中で
あげはが自分の膝の上で

先程の店で購入した
ふたつのビードロを
大事そうに抱えているのが見えて

その嬉しそうな
彼女の横顔を見ていると

もう2つだと提案して
正解だったと思えた


「これは…、カナエちゃんの
所に届けるつもりです」

「そうか、そうだな。それがいい……」

「杏寿郎、これを…」

あげはがこちらに一つ
ビードロの入った箱を差し出して来て

「それは、君の分じゃないのか?」

「これは、先程…、私が別に購入した分です。
その…もしご迷惑でなければ…貴方のお母様に。
今でこそ、おもちゃですが…本来は厄払いの
念を込めて旧正月に吹かれていたそうです。
と……言うのは、先程のお店で聞いた、
受け売りの話ですが」

「そうか。…やはり君は、君だな」

「え?ええ。私は、私…ですが?」


俺があげはの考えに感化されて
カナエの分が必要かと聞いたからか

あげはは…… 母上の分を
用意してくれたんだな……

本当に あげはらしい… な

あげはがこちらに差し出して来た
ビードロの入った箱を
杏寿郎が受け取る


ただの子供の玩具かと思っていたが
ビードロにはその様な意味合いがあったのか


厄払い… か


そこに存在するはずのない

風鈴の音が どこかでしたような気がして

杏寿郎の脳裏に 

風に揺られて鳴る

実家にあった あの 風鈴が

鮮やかに 思い出されて来る

実家の事を考えていたら 

不意にある考えが 
浮かんで来てしまって



「あげは、…これを実家に届けたいと
俺は、考えているのだが。
ついて来てくれるか?」

「え、ええ。それは勿論、
喜んで、ご一緒させて頂きますが…」

「そうか。なら、
帰ったら鴉に文を届けさせよう」

それから 炎屋敷に戻ると
あげはも例のオートなんとかの件で
胡蝶に文をしたためたいと言ったので

2人それぞれに文机に向かった
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