第4章 ちょっとだけ 分かったこと
やめると言う事は
何を言っても聞き入れないに戻るだけだよな?
詰んでる気がするんだけど
聞き入れてもらえる可能性もあるのだろうか?
「何ですか?」
「君は、俺じゃない誰かなら…
受け入れる事ができるのか?
…それとも誰だったとしても、駄目なのか?」
「一つの質問で、二つ聞いてるじゃないですか!
君でも、君じゃない誰かでも…
ダメだと思うけど」
「そうか、ならもう一つ。
それは…月日が流れても…
この先変わる事はないか?」
随分と… 確信めいた 核心に近い 質問だな
あの短い時間で ここまで考えたのか
この二つの質問で 私の中にある事を
彼が判断するに足りると言う事か…なるほどね
「俺は、…君の答えは何となく分かっているが。
君も自分がそれを答えた、
…俺の返事も分かってるな?」
図星をつかれてしまったな
確かに即答できる質問に
返さなかったから彼に確信を与えてしまったか
「まあ、持ち出された辺りから
予想通りですけどもね?」
「なら、なぜ、こっちを選んだ?」
「あら、最初から選択肢、
与えられてないじゃないですか」
断るつもりだったくせにと
言いたそうな顔をしていた
もし 彼女が俺の二つ目の質問に
「ある」と答えていたら
俺はその時を待てばいい
「ない」と答えていたら
彼女の願いは聞き入れないつもりだった
いや しかし 彼女は俺の質問に
言葉で返していないのか
「して、俺の聞いた事の答えは、
どうするつもりだ?」
「言いません」
「むう、そう来たか。
…その返しは俺も予想してなかったな。
君は賢いな」
俺が選択肢を与えていないのを承知で
答えを保留する事で俺はこれ以上この件で
彼女に詰め寄る事ができないと言うわけか…
なるほど 彼女は…賢い女性の様だな
しのぶちゃんは私に嘘をついている
いつも 何度も 彼は死んだんだと私に言う
しのぶちゃんは知ってるはずだ…
彼は死んでなんかいない事
しのぶちゃんは知ってる
でも しのぶちゃんは…ずっと嘘をついてる
ー彼は死んだんだーと
私は彼に生きていてほしいかとか
私の所に帰って来てほしいかとか
彼をずっと待って居たいのかとか
今でも 彼の事が 好きなのかとか
正直な所 わからない…