第25章 昼下がりの密事(みそかごと)※R-18
あげはが俺の身体に自分の身体を
ぴっとりと引っ付けてきて
そのまま耳元に自分の口を寄せ
すっと俺の耳元の髪を指先で除けると
彼女の指先が俺の耳の縁をなぞっていく
「…どうしてなの?
なんで、ダメ……って言うの?」
ゴクリと思わず
なんとも艶めかしい彼女の問いかけに
固唾を飲んでしまった
「答えられない?
だったら、……聞き方を変えるけど。
杏寿郎は、どうして、
私に色々したくなっちゃうの?」
俺があげはに色々と
してしまいたくなる理由
理由は 勿論色々あるが
俺がそうしたいからだとか
俺がそうしてあげはが
乱れるのを見たいとか
そうしている時の
表情も 甘い声も 仕草も
俺の名を呼ぶのも 全てが
俺に
俺だけに許されているのだと
そう思うと……
そうせずには居られないと
言う物ではあるのだが
「じゃあさ、それって、
不公平だって思わない?」
俺はまだ何も言っていないが
あげはにそう言われてしまって
「だが、しかし…あげはっ、……っ」
断ろうとした唇を
あげはの指先で止められてしまって
それ以上の言葉を紡ぐのを防がれてしまう
「だぁーめ。いいでしょ?…ううん、違う。
断らせない…から。偶には、いいじゃない?
私にも、…させてほしいんだけど?」
「しかし、君の手を…煩わせるのは…、
その、何とも、気が引けると言うか…だな」
にんまりと目の前のあげはが
笑ったのが見えた
その笑みが酷く蠱惑的に見えてしまって
「ふぅーん、だったら
手を煩わせないならいいんだ?」
そう言いながら何かを企んでいそうな
彼女は俺のことなどお構いなしとでも
言いたげに自分の髪を高くひとつに纏め上げる
「それだったら、いいって事?」
と意味が掴み切れて居ない
俺にそう声を掛けて来て
「君の言いたい事が、
俺には理解しかねるのだが?」
ふうっとあげはが
杏寿郎の耳に息を吹きかけて来て
「手……、使わなかったらいいんでしょ?
手を煩わせたくないって、言ったでしょ?
杏寿郎がそう、言ったんだよ」