第25章 昼下がりの密事(みそかごと)※R-18
ある部屋のドアの前を通り過ぎる時に
中から嬌声が漏れ聞こえてきて
思わず 杏寿郎の服を掴んでしまった
「心配か?あげは…」
「え……。心配って?」
「自分のその時の声が、部屋の外まで、
漏れ聞こえてしまわないかと
君が、心配しているのかと思ってな」
「もう、杏寿郎?私の声が漏れるとしたら
杏寿郎のせいっ…ですからね?」
「ははははは。
俺の所為にされてしまったか。
だが、それは仕方ないな…、
そうしたくなるからな、……だが」
そう一旦 杏寿郎が
言葉を区切るとふっと笑みを浮かべて
それは もう私が
声を抑えるとか抑えないとか
そんなレベルを超えてしまうほどに
どうしようもなくされてしまうと
言う事だろうか?
そう考えていると
「聞かせたくは……、ないがな?
君のその時の声も、
俺の物…のはずだからな」
「ちょ、杏寿郎っ、何をっ…」
促されて
三階へと続く階段を昇ると
そこは 二階とはまた
ガラッと雰囲気が違っていて
明らかに調度品のランクも違うし
そもそも床のカーペットの素材も違う
歩いてるだけでふかふかしてるのが
わかるし こんなカーペットを
廊下に使ってしまっていいのかと
思わず言いたくなるようなほどの
クッション性の良さだった
それに 部屋の数
ワンフロアに対する部屋の数が
明らかに下の階とは 違うんだけども?
ドアとドアの間隔が
…違い過ぎるんだけども?
「一番高い、部屋ではないぞ?」
「え?いや、そうでなくても、
この階のお部屋はそれなりにお値段が
張りそうな感じがするのですが?」
あげはが心配してる事を
杏寿郎に見透かされていた様で
そう言われてしまったが
この廊下の調度品やらを見ていると
そう思えてしまうのだが…
「それでも、週末の夜は満室らしいがな」
そ そうなんだ 満室になるのか
結構張りそうな感じがするけども
そうでもないのかな?
「あの、…私はこう言った場所の相場が
良くわからないのですが、いかほどで?」