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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第25章 昼下がりの密事(みそかごと)※R-18


「俺も、その辺りの相場は知らんが。
ここの階も部屋によって、ばらつきはあるが。
老舗温泉旅館の素泊まりぐらいだったが?」

あげはが杏寿郎の
言葉を聞いて それって
高くないかと思ったのは
当然の事だった

「その値段が、高いか妥当かは、部屋を見て
考えたらどうだ?」

そう言って一室のドアに
持っていたルームキーを差し込んで
ガチャリとキーを回して
ドアを開くと 杏寿郎がこちらへ
どうぞと言いたげに促して来たので

開かれたドアから
室内の様子が目に入って来て

そのままあげはが
廊下で固まってしまって

杏寿郎が腕を引いて中に引き入れた

「床っ、杏寿郎、凄いですね!
お部屋の床も大理石ですよ?
あ。あの…あれ…」

あげはが杏寿郎に
部屋の中央にどーんと鎮座してる
ある物を指さして言った

「あれが……どうした?」

「あれ、お風呂ですよ?どうして
部屋の真ん中にあるんですか?それも
周りも囲われてないし!ビチャビチャに
なってしまわないのでしょうか?」

「それにしても、変わった形の浴槽だな。
素材は陶器製の様だが、風呂に
足が生えてるように見えるな」


「ああ、でも活動写真で見たことがあります。
こんな大きなものではありませんでしたが、
えっと、確か猫足のバスタブと言う
西洋の浴槽です。私も、現物を
見るのは初めてですが…」

バスタブに視線を向けていたのを
戻すと杏寿郎が違う方向を見ていたので

杏寿郎が見ている物が気になって
あげはが 杏寿郎の視線の先を見ると

そこにあったのは

「ベット…、こんな大きな
サイズのベットも初めて見ましたが…」

「外国でも、寝所で蚊帳を使うんだな」

「あ、あれは……えっと、
蚊帳ではなくて……天蓋と言って。
虫よけの意味もあったらしいですが、
空間を分けるとか、隔てる様な意味合いが
強かったとか…」

「それは、誰に聞いた話だ?」

「ああ、昔、父に連れられて出会いに行った、
西洋好きの、蘭方医の方にですよ。その方も
洋館にお住みになられてましたので」

「そうか、そうだったんだな。
この蚊帳みたいなのは蚊帳の意味もあるが…
他の意味合いも持つと言う事か…」
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