第24章 町行かば ※R-15
後…と言いながら
杏寿郎が何かを主人に耳打ちした
どうせ 刺繍でも足すんだろうなと
あげはは思ってたが言わなかった
「杏寿郎さん、
その…、白無垢は……一回だけですよ?」
「だが、一生に一度切りだからな」
「それは、まぁそうなんですけど、
鳳凰の反物は、他にもあるようですし、
そちらをご覧になってから
お決めになられても、いいのでは?」
「いや、必要ない。俺がこれがいいと
思ったからな。君は、この反物の値段が
気になるのかも知れんが、それしき事を、
俺が気にするような男だとでも?」
「い、いえ、そのような訳では…」
キッパリと私が
気にしている事を
気にしてないと杏寿郎に
言い切られてしまったので
こっちからは何も言う事はあるまい
気にする事があるのならば
私がその印象的な白無垢に
負けてしまわないか…とかかも
それから採寸をこちらでも
女性の店員さんにして貰って
恐らくであるが その表情から察するに
彼女の脳内でもあの鳳凰の反物が
赤こぶきで 更に紅裏の
なんとも 煉獄家の嫁らしい
白無垢と言う名の 紅白無垢になって
それを身に纏う私を
想像しているのだろうが
でも 確かに
真っ白な白無垢よりも
杏寿郎さんと並ぶのなら
その赤色の多い白無垢の方が
合うかもしれないな等と
あげはが考えているいる内に
採寸は終わった
採寸を終えて
色打掛の反物も選んで
呉服屋を後にする
仕立て屋との約束の時間には
まだかなりの時間があったので
少し歩くかと言われて
杏寿郎に腕を差し出されて
差し出された腕に自分の腕を絡めた
「早めに昼食にしてもいいし、
少し、甘い物でも食べるか?」
「甘い物…ですか、それもいいですね」
あっちとあげはが指をさした先には
手にアイスクリンを持っている人達が居て
その更に先にアイスクリンを売っている
店があるようだった
「アイスクリンが、
あっちで売ってるようだな。行くか?」
「そうですね」