第4章 ちょっとだけ 分かったこと
俺自身も今 それと同じような事を
感じて考えていたのだから
そして 彼女自身がそれを感じているから
ー「多分、こんなんだから私が、
放っておけないんだけなんじゃないかと」ー
と言う言葉が出たんだろうな…と
察する事が出来る
確かに… 放ってはおけない
自分の側に置いておきたいと思う…
そんな事を杏寿郎は
あげはの横顔を見ながら考えていた
考え事をしているのか
自分の隣を歩いている杏寿郎は
何も聞いて来なくなってしまった
いつもなら
痛いほどに感じる視線も感じないし
それとも 私が彼にしんどくはないかと
聞いたのが良くなかったんだろうか?
確かにあまり心の奥底の事など
付き合いの浅い者にどうこうは言われて
気分のいいものじゃ無いだろうし?
ただ 深い意味もなく 聞いてしまったのだ
彼があまりにも
溢れる情熱を持って柱をしていて
頑張る事 努力し続ける事を
当たり前にしすぎてるんじゃ無いかって
その 精神力でカバーできるのは
限界もあるだろうし
人間なんだから
なんでも完璧になんて出来やしないのに
少しくらいは
自分を甘やかしてもいいんじゃないかって
辛い時に辛いって言う事も
しんどい時にしんどいって言うことも
きっと 悪い事じゃないと 思うんだけど…
彼はそれを良しとはしないんだろうなぁって
そんな事をあげはは
杏寿郎の横顔を見ながら考えていた
気がつくと見慣れた景色がそこにあった
歩いている内に駅前まで戻っていたようだった
「お昼が、遅くなってしまったな。
どこか入るか?」
「そうですね、お昼にしましょうか」
近くにあった店に入って遅めの昼食を取った
昼食を済ませて駅に戻ると
丁度いい具合に無限列車が
すでにホームについており
すぐに乗り込める状態で待機していた
「丁度いい、時間に戻ってこれたな」
「本当ですね」
東京へと向かう 無限列車へ乗り込んだ