第24章 町行かば ※R-15
その言葉にドキッと胸が跳ねた
確かに この口付けでは
物足りないのは確かだ
唇がいいに決まってるけど
でも……そうしたいって
思ってるのは私だけじゃなくて きっと
彼もそうなんだろうけども……
でも彼はきっと そうしたのなら
きっと 口付けだけなんかで
熱が収まるとも思えないんだけども……
何となくではあるが
あげはが心配している事はわかる
俺がそうしたら きっと
もっとあげはを欲張ってしまうから
外とかそんなのお構いなしに
彼女を求めてしまうのではないかと
それを気にしてるのだろうが
普段の俺の行動から推察すれば
その様な考えになってしまっても
それは仕方ないと思ってしまうしな
「どうだ?見ていくか?」
普通に店に入るかと聞かれて
あげははそれを断った
自分の好みに合わなかったし
それに
杏寿郎は口付けが
もっとしたかったのかと
思ってたんだけども
違ってたのかな?
「合ってると思うがな」
と杏寿郎が笑みを浮かべながら
そうこっちへ言って来て
「君は、俺がそうしたいって、
思っていて。そうした俺が、
どうしたいのかと思うかという事も、
わかってるんだろう?」
目の前にいるあげはが
返答に困ってしまって
返すに返せなくなって
慌てて焦っている姿は また
可愛らしい事この上ないが……
「君に口付けたら、俺の堪えがまた
無くなってしまうかも知れないからな?」
そんな話をしてるとは
思えないような いつも通りの
大声で彼が笑った
「あの、杏寿郎」
クイッとあげはが杏寿郎の
服の裾を引いて 声を掛けると
「どうした?あげは。
何か言いたい事でのあったか?」
「杏寿郎は……、
その、言われたいですか?
容姿の事とか、もっと、
褒めらえれたいのかなぁ…って」
そう 俺に尋ねて来る
その仕草や 表情が……
堪らなく 可愛らしいのだが
俺にそれを言った所で…
「だが、俺を褒めると
褒め返されるぞ?いいのか?」