第24章 町行かば ※R-15
「それは、
……紅が移ってしまってますから」
じっと熱い視線で見つめられてしまって
「どうせ、まだするんだ…、
今はいいだろう?……嫌か?」
そう熱い熱を帯びた
甘い声で囁かれてしまって
「ダメですよ、杏寿郎……、
私の唇から紅が無くなってしまいますから…」
「一層の事、そうしてしまいたい所だが?」
そっと頬に手を添えられて
視線を合わせさせられる
「普段の姿もいいが、……洋装も似合うな。
あげは、君の美しさが際立っているな。
さている紅の色が、いつもと違うのは。
服に合わせているからか?」
気が付いてたんだ
いつもと違う色の紅をさしているって
彼が私の唇の紅を
落としたいと思っているのは
もしかして… 紅の色が
気に入らない…とか?
「あの、……似合いませんか?この色は、
私には赤すぎましたか?」
似合わない色だと
思われたと感じたのか
あげはがそう返して来て
「どうして、そうなる?俺は一言も
似合わないとは……言っていないが?」
「でも、落としたいんですよね?」
ふっとあげはの言葉に
杏寿郎が笑って
「なら、俺から君に紅を贈っても?」
それは 杏寿郎の好みの色の
紅を私にさして欲しいって意味だよな
そして その紅を……
「紅なら、いくつか持っていますが……
杏寿郎が、そうしたいのなら…」
「いいのか?俺にそれを許可すると
さした紅を全て、俺に落とされてしまうぞ?」
「うっ、そ、それは…、紅をさした意味が
なくなってしまいます…からっ」
「そうしてしまって、紅をさし直す君を
見て、またそうしたくなってしまうかも
知れないがな……?」
そのやり取りに
恋仲になってすぐの頃に
口付けを交わし過ぎて唇を腫らしてしまって
しのぶちゃんに貰った薬を塗った時の
杏寿郎とのやり取りを思い出す
流石にもう 何度も浴びるほど
口付けを交わしたのだから
腫れたりはしないけども
杏寿郎は ダメって制限されると
口付けたくなるの…かな?
あの時といい 今といい…